インタビュー

クラミジアってどんな病気?―最も多い性感染症

クラミジアってどんな病気?―最も多い性感染症
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。

さまざまな性感染症について、性感染症学会の代議員としてわが国における性感染症予防・治療を牽引し、ご自身の診療所でも長きに渡り性感染症の患者さんと向き合われてきた尾上泰彦先生に伺います。今回は「クラミジア」についてのお話です。

クラミジア感染症とは

クラミジア感染症」とは、一般的にクラミジア・トラコマティスという細菌による感染症のことをいいます。クラミジア感染症は、診断技術の進歩により1985年頃から注目されはじめました。現在では最も多い性感染症のひとつとなっており、性活動が盛んな若者に多く発症します。女性の患者さんは男性の2倍以上います。そして、女性の70~80%、男性の50%が無症状です。

クラミジアは非常に弱い菌であり、ヒトの身体から出てしまうと長く生きることができず、性的接触以外ではほとんど感染することはありません。感染ルートとしては通常の腟性交により男性尿道と子宮頸菅の間を感染し合ったり、そのほかに口腔性交(オーラルセックス)や肛門性交(アナルセックス)により、咽頭や直腸が感染源になることがあります。

クラミジア:女性の症状

女性の症状としては、下腹部痛、性交痛、排尿痛、帯下の増量や不正出血などが挙げられます。しかし、前述した通り、およそ80%近くの人がまったく症状を感じないとも言われています。

もしも感染していることに気付かないで放っておくと、子宮頸管炎から卵管炎に波及し、卵管狭窄を生じます。これは、子宮外妊娠の原因や不妊症につながる危険性があります。また、骨盤腹膜炎、肝周囲炎になる恐れもあり、注意が必要です。

(クラミジア子宮頸管炎)
クラミジア子宮頸管炎

妊娠中にクラミジアに感染すると、産道感染を起こすことがある

クラミジア感染症は、病原微生物「クラミジア・トラコマティス」による感染症であり、性行為等によって感染する病気です。一説には一般健康女性の約5~20%が感染しているといわれています。クラミジアに感染した女性が妊娠、もしくは妊娠してからクラミジアに感染した場合には、流産や早産の原因となる可能性があります。

クラミジア感染症は初期の自覚症状がほとんどありません。そのため、クラミジアが子宮頸管に侵入し、さらに子宮から骨盤内へと感染が広がってくことがあります。その結果、子宮内膜炎・卵管炎・骨盤腹膜炎といった骨盤内感染症を引き起こします。これらは不妊症の原因ともなるため注意が必要とされています。

妊婦の場合では3〜5%の人がクラミジアに感染していると考えられています。クラミジアに感染している妊婦が治療を行わずそのまま出産に望むと、生まれてくる赤ちゃんが産道感染をおこす確率が高くなります。すると産道感染が原因と考えられる結膜炎や肺炎などを発症する可能性が高くなるのです。ある統計によると、約30〜50%の確率で赤ちゃんが産道感染するといわれていますが、そのなかで肺炎が占める割合は15~25%ともいわれています。

もし赤ちゃんが産道感染をしていた場合、赤ちゃんに現われる具体的な症状には、出生後1週間前後であれば、目が赤くなり目やにが増える結膜炎を上げることができます。また出生後1ヶ月前後では、肺炎を発症する可能性も考えられます。肺炎になると咳が出て哺乳力が低下するため、早急に治療する必要があります。

クラミジア肺炎による命の危険性はそれほど高くはありません。しかし赤ちゃんが呼吸機能障害をおこしたり、その後肺炎を繰り返したりするなどの可能性も十分あるため注意が必要です。せきが止まらないなどクラミジの感染が考えられる場合には、出産時の産院または眼科あるいは小児科を早めに受診しましょう。

クラミジア:男性の症状

男性の場合は、感染後1~3週間の潜伏期を経て尿道から分泌物が出現したり、排尿時痛や尿道のかゆみが出現します。しかし分泌物の量は少なく、また排尿痛も軽かったり、尿道のかゆみも違和感や不快感といった程度であまり気づかないことも多くあります。およそ50%の人は全く症状が出ません。

もしも感染していることに気付かないで放っておくと、クラミジア性尿道炎の約5%に精巣上体炎を発症してしまいます。これは男性不妊症の原因になることがあります。

精巣上体炎
精巣上体炎

クラミジア結膜炎のはなし

クラミジア結膜炎とは、「クラミジア・トラコマティス」に感染しておこる結膜炎のことです。クラミジアというと性感染症という認識をお持ちの方が多いですが、実はクラミジア結膜炎はクラミジア感染者数に比例して増加しつつあります。

クラミジア自体は空気に触れ乾燥すると死んでしまう、環境の変化に弱い微生物です。クラミジアは感染している人の体液に直接ふれない限り他の人に感染する心配はありません。しかし、のどにクラミジアに感染している人の唾液が目に触れたり、手に分泌物が付着したまま目をこすったりしてしまうと、クラミジア結膜炎にかかる場合があります。

クラミジア結膜炎の症状ですが、結膜が充血し眼瞼結膜に小さなブツブツが生じるほか、目やにが出るようになります。結膜以外に角膜にも炎症を起こす場合があるので、クラミジア結膜炎が進行すると視力が低下する場合もあります。

治療方法には、抗生物質を含んだ眼軟膏や点眼薬、そして内服薬を使用します。性器クラミジアと同様、医師に指示された期間治療薬を服用し、服薬休止期間後には完治しているか検査を受けるようにしましょう。

クラミジアの感染を放置してしまうと、女性の場合は子宮外妊娠、不妊症、流産のなどの要因にもなります。またクラミジアの治療が不十分な妊婦が出産すると、出産時の産道感染により生まれてきた新生児に母子感染することがあります。新生児のクラミジア結膜炎は、生後1週間から2週間で発症します。大人のクラミジア結膜炎と同様に結膜の充血、目ヤニなどの症状があらわれるので、クラミジア結膜炎と判断することができます。

産道のクラミジアが感染すると、結膜炎以外にも肺炎や中耳炎を合併し思わぬ事態を引き起こす可能性もあります。妊娠していることが分かったら、早い段階でクラミジアに感染していないか、検査を受けるようにしましょう。

クラミジア封入体結膜炎
クラミジア封入体結膜炎

クラミジアの検査

女性のクラミジア検査法としては、子宮頚管の分泌物、もしくは腟壁擦過検体からのクラミジア検出を行います。男性のクラミジア検出法としては、初尿を検体とし、クラミジアの検出を行います。尿検査で中間尿を検体として採られる患者さんがいますが、それではクラミジアが検出されにくいので、尿の出始めを検体として提出しましょう。

咽頭感染の場合、綿棒で喉をぬぐうスワブ法と、専用のうがい液でうがいを行ううがい液法の2種類の方法でクラミジアの検出を行います。うがい液法はスワブ法に比べ患者さんの負担が少なく、また検出率も高いため、うがい液法の有用性が評価されています。

クラミジア感染症は検査で調べることができる

指定された部位の粘膜を、送られてきた専用の綿棒で採取し検査機関に送るだけで感染しているか検査ができる「クラミジア検査キット」があります。

クラミジアをはじめとした性感染症が心配でも病院に行きたくない、または仕事などで病院に行くことができない方たちの間で、こうしたキットは手軽な検査方法として浸透しつつあります。

特に若い人の間で増えつつあるクラミジア感染症は流産や早産以外にも、子宮内膜症のように不妊症の原因になることもあるため注意が必要です。クラミジアは感染してから症状があらわれるまで1~3週間かります。そのため感染している本人も気がつかないまま性行為等を通じてパートナーへと感染を広げてしまいます。

感染した際の症状ですが、女性のは「帯下(たいげ。おりもの)が多くなった」「性交時に違和感がある」と感じることが多く、男性の場合では「尿道のかゆみや排尿時の違和感」などを訴えることが多いです。

クラミジアの検査キットはインターネット上で購入が可能です。検体を付着させた検査キットを投函すると最短で2日で結果が判明します。検査結果の通知方法は郵送・電話・メールなどから選べますので、利用者のプライバシーが守られるというメリットがあります。

【検査キットの使い方】

女性用の場合キット内にある綿棒の先端を腟口から挿入して、子宮口付近の粘液を拭き取ります。男性の場合は尿を採取して専用容器に入れます。この検体を指定の封筒や箱に封入してポストに投函します。

この検査キットを使用する際の注意点ですが、これはあくまでも早期発見の補助として用いるものです。検査結果が陽性だったときや、すでにクラミジア感染の症状がある場合は、専門の医療機関を受診しましょう。男性は泌尿器科・性感染症科、女性は産婦人科・性感染症科が該当します。のどに違和感があるときには耳鼻咽頭科を受診するようにしましょう。

クラミジアの治療

クラミジアの治療には基本的に細菌を殺す抗生剤を用います。マクロライド系抗生剤またはニューキノロン系抗生剤のうち、クラミジアに対し抗菌力のあるもの、もしくはテトラサイクリン系抗生剤を投薬します。アジスロマイシンの単回服用療法も行われています。重症例では、ミノマイシンの点滴を行うこともあります。

また他の病気でも言えることですが、薬の飲み残しをしたり、医師に言われた通りにきちんと服薬しないと、菌が消滅しなかったり耐性菌が出現して完治しないことがあるので、注意が必要です。そのため、服薬終了後2~3週間経った後にクラミジアの病原検査を再び行い、治癒を確認することが推奨されます。

またパートナーにも感染している可能性も十分あるので、パートナーの治療も必要となります。性器カンジダ症では、再発した場合に限ってドラッグストアで市販薬を購入することが可能ですが、性感染症のなかでも特に感染者の多いクラミジアの場合も、性器カンジダ症と同じように購入することができるでしょうか。

結論から言ってしまえば、日本においてクラミジア感染症の治療に使用される抗菌剤アジスロマイシン(ジスロマック®)は、病院の医師による処方箋なしに入手することはできません。ただし、インターネットの通販で個人輸入品として購入することができます。アジスロマイシン以外にも、アジスロマイシンのジェネリック医薬品も通販がされています。

性感染症は他の病気と比べ「恥ずかしい」と感じる方が多い病気です。そのため他の人に知られることなく病気を治そうとする方もいらっしゃいます。

クラミジアは繁殖力が強いので、薬を飲んだ後でも体内にクラミジアが残っていると再び繁殖を繰り返すことがあります。そのため服薬による治療が不十分な場合には、クラミジアが再発してしまいます。医師によってクラミジアと診断されると、服薬期間終了3~4週間後に再検査を受けるよう指示されるのは、クラミジアがいなくなっていることを医師が確認するためなのです。

また、日本の正規ルートで販売されている薬は厳しい規制のもと製造・管理されていますが、海外の薬はどのように作られているか把握できないだけでなく、必ず効くという保証もありません。ネット販売されている薬品にはリスクが伴い、体に異変が生じたとしても責任を問うことができませんので、全てが自己責任となる事を知っておく必要があります。

性感染症は誰でも感染する可能性があります。性感染症は決して恥ずかしい病気ではありません。もし不安や悩みがあったら、恥ずかしがらずに医師の診察と適切な治療を受ける。これが性感染症の最善の解決方法です。

クラミジアは完治させることができるのか

「クラミジア・トラコマティス」という微生物が原因のクラミジア感染症(以降クラミジア)は投薬によって行われます。アジスロマイシン(ジスロマック®)という治療薬を処方することが多いです。

クラミジア治療ですが、指定された日数は薬を飲み続け、服薬終了後は病院で陰性になっているか検査をしてもらうことが大切なポイントとなります。たまに、服薬期間中に症状が軽くなったからといって薬の服用を勝手にストップしてしまう方がいらっしゃいますが、これではせっかくの治療の意味がなくなってしまいます。クラミジアの治療が不完全だと、再びクラミジアが増殖をはじめてしまいます。

服薬終了後に医療機関で再度検査を行うのには、処方した薬がしっかりと効いていたか、そしてクラミジアがいなくなっているかを確認するという理由があります。クラミジアと診断されたら服薬終了後の検査も必ず受けて、完治していることを確認するようにしましょう。

クラミジアが再発するとき

クラミジアは正しい治療によって完治させることができれば、その後再発することはありません。しかし、完治したと思ったクラミジアが再発してしまうことがあります。

その理由のひとつに、病院で治療を受けた患者の中には症状がなくなった段階で、完治したと思い込み投薬をやめてしまうことがあげられますが他にはどのようなことが考えられるのでしょうか。クラミジアの再発を防ぐため、注意すべき点について確認してみましょう。

①服薬期間を守り、再検査を必ず受ける

クラミジアと診断されたら最低でも2週間は薬を飲み続けてください。投薬終了後には3~4週間ほどの休薬期間をもうけたあと、クラミジアが陰性か陽性か再度検査を受けましょう。

②コンドームを使用する

あなたがクラミジアに感染していた場合、パートナーもクラミジアに感染している可能性が高くなります。これでは完治しても再びクラミジアに感染してしまいます。このように、性交を通じて感染を繰り返すことを「ピンポン感染」といいます

③パートナーにも検査を受けてもらう

もしあなたがクラミジアと診断されたらパートナーに素直に打ち明けましょう。そしてパートナーの方にも検査を受けていただき、もし検査結果が陽性だったときには二人で治療を受けて完治させましょう

④パートナーがクラミジア治療中のときは性行為を控える

クラミジアの治療は服薬によって行われます。この期間中はまだ体内にクラミジアが残っていますので、性行為は避ましょう。

⑤不特定多数の人との性行為はやめる

クラミジアに限ったことではありませんが、パートナーが増えるとその分感染リスクが上昇します。再感染を防ぐためにも、不特定多数とのセックスをしないようにしましょう。再検査で陰性、完治したことが確認されたらコンドームを使用するなどして再感染しないようにすることも大切です。

クラミジアは自覚症状が乏しい性感染症です。そのため感染に気づかずに放置してしまうことが多いため、不妊症や流産などの原因になる事も少なくありません。クラミジアと診断されたら医師の指示を守りしっかりと完治させるようにしましょう。

クラミジアは他の病気を引き起こすこともある

性感染症のひとつであるクラミジアは性器以外の部位にも感染します。

例えばオーラルセックスを通じ性器から口内に感染することもあれば、分泌物がついた手で目をこすったりすることで目に感染することもあります。眼に感染すると鼻涙管(びるいかん)を通じて咽頭感染をおこすこともあるので、クラミジアの頭部感染例は多いのです。

クラミジアは10代、20代を中心に感染が拡大しており、感染者数は2015年だけでも24,000人を超えるなど大きな問題となっています。また、クラミジアに感染すると他の性感染症を引き起こしやすくなり、HIVの感染率は3~5倍に高まるともいわれています。

クラミジアに感染したのが女性の場合、子宮頸管から子宮内膜、卵管、腹腔内へと侵入します。すると、侵入したクラミジアによって卵管の癒着を招くこともあり、その結果不妊症の原因になることもあります。

男性がクラミジアに感染した場合には、クラミジア尿道炎になる可能性が非常に高くなります。クラミジア尿道炎の症状ですが、多少のかゆみや違和感のほかに、尿道から透明~乳白色をした水っぽく粘り気の少ない分泌物が出るのが大きな特徴です。また、用を足しているときだけでなく、日常生活の中の何気ないタイミング分泌物が出てくるケースも多く、下着に分泌物が付着することで異変に気がつくこともあります。しかしクラミジア尿道炎の症状は軽いことが多いので、そのまま放置されてしまうことも多いです。

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クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌が人の細胞に寄生し、繁殖することが原因となって起こる感染症です。このクラミジア・トラコマティスは非常に弱い菌です。

この記事の目次

  1. クラミジアの感染ルート
  2. クラミジアを放置してしまった場合
  3. クラミジアの潜伏期間-男女ともに自覚症状が出ない場合がある

クラミジア・淋菌などの咽頭感染―のどからうつる性感染症に注意!

「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。

この記事の目次

  1. 咽頭は性感染症の温床
  2. 咽頭感染の検査
  3. 咽頭感染の治療
  4. 咽頭感染、治癒確認の必要性
  5. 咽頭感染予防のために