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クラミジアの症状は無自覚であることが多い?~症状、検査と治療方法~

クラミジアの症状は無自覚であることが多い?~症状、検査と治療方法~
末永 昭彦 先生

にしたんARTクリニック品川院 院長

末永 昭彦 先生

目次
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クラミジア感染症は、クラミジアという細菌に感染することでかかる病気です。

この記事では、主に性器クラミジア感染症に焦点を当てて、症状、検査、治療方法などについて紹介します。

クラミジア感染症はクラミジア・トラコマティスという細菌が引き起こす感染症で、性器クラミジア感染症クラミジア肺炎などがあります。

性器クラミジア感染症は、日本では数ある性感染症の中でもっとも多く産道感染を引き起こす感染症といわれています。

男性よりも女性の患者数のほうが多いといわれており、女性は自覚症状が少なく、自分がクラミジアに感染していても気付いていないケースも珍しくありません。

性器クラミジア感染症は基本的には性行為によって感染します。ほかにも口や肛門を使った性行為で、咽頭(いんとう)または直腸がクラミジアに感染することもあります。

いずれのケースも、直接触れ合うことで感染を起こしやすいといえます。

性器クラミジア感染症に気が付かず放置すると、合併症を引き起こすこともあります。

感染が広がると、女性の場合は卵管炎などを、男性の場合は精巣上体炎を引き起こす可能性があり、将来的に不妊症の原因になるともいわれています。

クラミジア感染によって引き起こされるのは、男性では尿道炎(クラミジア性尿道炎)がもっとも多いとされています。クラミジアに感染し症状が現れるまでには、1~4週間ほどかかります。

症状が現れると排尿時に痛みを感じたり、尿道からが出たりすることがあります。

また、クラミジア性尿道炎を放置すると、精巣上体炎に移行する危険性があります。精巣上体炎は、男性の不妊症の原因になることもあるため注意が必要です。

女性の場合は、無症状の感染者が多く存在するといわれています。症状があってもわずかで、性交痛、排尿痛などが起こることがあります。

また、クラミジアに感染していることに気付かないまま放置していると、子宮の炎症が卵管炎や腹膜炎につながるケースもあります。管炎は卵管狭窄(らんかんきょうさく)卵管閉塞(らんかんへいそく)を引き起こし、精子あるいは受精卵の通過障害から、子宮外妊娠や不妊症につながる恐れがあります。

血液検査

クラミジアIgA・IgGという物質の反応によって、感染しているかを判定します。しかしこの血液検査は、かつて感染していたことがある場合にも陽性反応が現れることがあります。そのときには次に紹介する尿検査を行い、より正確な判定ができるようにします。血液検査は、男女共に行う検査です。

尿検査

男性の性器クラミジア感染症の検査では、尿検査で菌の検出を行うこともあります。ただし、施設によっては行っていない場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

尿検査では20cc程度を検体とします。注意点は、2時間以上排尿をしなかった後の初尿(出始めの尿)でなければならないということです。少し排尿した後の中間尿を検体として提出してしまうと、尿と一緒にクラミジアの菌が流れていってしまった後の尿を調べることになります。そのため、実際は“陽性”であるにもかかわらず、“陰性”となってしまう場合があります。

女性の性器クラミジア感染症の検査では、先述の血液検査に加えて子宮頸部などからの分泌物を検体として採取して検査します。

クラミジア感染者と口を使った性行為を行った場合には、喉がクラミジアに感染する場合もあるため、咽頭の検査も必要になります。咽頭のクラミジア感染症の検査においては、“スワブ法”と“うがい液法”の2つの検査方法があります。

(1)スワブ法

スワブ法は綿棒を使用する検査方法で、咽頭部の粘液をぬぐって検体とします。遺伝子増幅法であるTaqManPCRやBDプローブテックET(SDA)法、Combo2 STD(TMA)法などで、クラミジアの有無を調べます。

この方法は喉の奥に綿棒を入れるため、反射によって嘔気(おうき)(はきけ)を生じることがあります。

(2)うがい液法

その名のとおりうがいをし、吐き出したものを検体として調べる方法です。使用するうがい液は、15~20mL程度の生理食塩水です。検体の検査方法はスワブ法と同じく、遺伝子増幅法でクラミジアの有無を調べます。

うがい液法のメリットは患者の負担が少ないだけでなく、クラミジアの菌を高い確率で検出できるので、スワブ法よりも有効であると評価されています。

クラミジア感染症は菌による感染症のため、少しでも残っていると菌が再度繁殖することがあります。そのため、処方された薬を飲み終えた後、2~3週間後に再検査をし、菌が存在しないことを確認します。

性器クラミジア感染症の治療には、主に抗菌薬が用いられます。

特にマクロライド系薬、ニューキノロン系薬、テトラサイクリン系薬の抗菌薬を使用します。

ほかの病気の治療と同様、処方された薬は指定された用量と服用期間をしっかりと守ることが大切です。たとえば7日間の服用を指定されたにもかかわらず途中で服用を止めてしまうと、細菌がまた増殖してしまうことになりかねません。治療薬の内服中あるいは内服後の避妊の必要性があります。また、クラミジアは性行為によって感染します。パートナーがいる場合には、パートナーが感染していないかの診断が必要になります。もし感染している場合には、同時に治療を行わないとお互いの間でうつしあい、再発を繰り返すことになります。

予防のためには、性交渉の際にコンドームを使用するようにしましょう。自分自身のクラミジア感染を防げることはもちろんのこと、気付かないうちにパートナー間でうつす、うつされる状態を繰り返す“ピンポン感染”を防ぐことにもつながります。

不安や疑問があれば医師に相談するようにしましょう。

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