インタビュー

クラミジアは自然治癒するの?

クラミジアは自然治癒するの?
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年10月17日です。

クラミジア性感染症は、若者を中心に感染者が最も多い性感染症といわれています。クラミジアには、感染する方が多い働き盛りである世代が仕事やプライベートな活動を優先しがちなため、早期の発見・治療が難しくなってしまうという側面があります。

そのような中、「クラミジアは自然治癒する」という話を耳にしたことのある方もいるかもしれません。今回は、「クラミジアは本当に自然治癒するのか」についてお話しします。

クラミジアは、本当に自然治癒するのでしょうか? 実際にクラミジア治療を行わずに自然に症状がなくなったという例もありますので、自然治癒することを期待している方も多いでしょう。しかし、現状の結論から述べるならば、クラミジアが自然治癒することは基本的にありません。それでは、なぜこのような例があるのでしょうか?

クラミジアが自然に治った例のほとんどの場合は、風邪をひいたときや他の病気などに処方された抗生物質がクラミジアの細菌を退治してしまい、結果としてクラミジアが治ったというケースだと考えられます。

つまり、本人は何もしていないつもりでも、知らないうちに治療行為を行っていたということです。しかし、この場合は医師の指示のもとクラミジアの治療薬を処方されているわけではないので完全に治癒したわけではなく、まだクラミジア細菌が身体の中に残ったままであることが多いのです。そのため、クラミジアの症状があらわれた際は、自然治癒を期待せずに受診しましょう。

男性がクラミジア性尿道炎に罹っていて、適切な治療を受けずに放置していると、前立腺炎をひきおこすほかクラミジア尿道炎の約5%に精巣上体炎を発症してしまいます。精巣上体炎は精巣上体(副睾丸)が腫れてしまう病気で、男性不妊症の原因になることもあります。

女性の場合、クラミジア性子宮頸管炎に罹っていて適切な治療を受けずに放置してしまうと、子宮頸管炎から卵管炎に波及し、卵管狭窄を引き起こしてしまいます。卵管狭窄は子宮外妊娠の原因となり、骨盤腹膜炎や肝周囲炎になる恐れもあります。

クラミジアは妊婦が感染していた場合、赤ちゃんが産道を通る際に感染してしまい、新生児肺炎結膜炎を引き起こしてしまう危険性があります。 また、クラミジアの感染力が高いので、クラミジアを放置していると感染を拡大させてしまいます。

クラミジアを放置しているとHIVの感染率が3~5倍にもなると言われています。「クラミジアに罹ったかもしれない」という心当たりのある方は自然治癒を期待せず、必ず医師の指示のもと適切な治癒を受けましょう。

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