インタビュー

クラミジア・淋菌などの咽頭感染―のどからうつる性感染症に注意!

クラミジア・淋菌などの咽頭感染―のどからうつる性感染症に注意!
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年07月18日です。

性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。

さまざまな性感染症について、性感染症学会の代議員としてわが国における性感染症予防・治療を牽引し、ご自身の診療所でも長きに渡り性感染症の患者さんと向き合われてきた尾上泰彦先生に伺います。今回は「クラミジア」「淋菌」などの咽頭(のど)からの感染についてのお話です。

咽頭は、性感染症の温床となっています。具体的には「クラミジア」「淋菌」「ヘルペス」「梅毒」など、色々な病気になる可能性があります。男性の性感染症で最も多い疾患は「クラミジア性尿道炎」、次いで「淋菌性尿道炎」ですが、その最大の感染源は、性風俗産業に従事している人(CSW)のオーラルサービスであるといわれています。

性風俗産業で働いている人のクラミジア感染症や淋菌性咽頭炎は、咽頭(のど)からのクラミジアや淋菌の検出率が高いにもかかわらず、ほとんどの症例において何の症状もなく、また咽頭発赤(のどが赤くなること)や扁桃腫脹(扁桃がはれること)などといった他覚的所見(医師が診断することで症状を裏付けられること)も見られません。CSWの方々淋菌の検出率は、咽頭のほうが性器よりも高いです。その一方で、クラミジアについては性器のほうが咽頭より検出率が高いです。

咽頭への感染ルートとして、眼が感染源となっていることもあります。クラミジアや淋菌がついた手指で眼をこすったりすると、そこから鼻涙管や下鼻道を通り、咽頭感染してしまうこともあります。性器の淋菌・クラミジア感染症の10~30%に咽頭感染が重複しているといわれ、診断・治療上、また感染源として注意が必要です。

咽頭感染の検査には、「スワブ法」と「うがい液法」の2種類があります。スワブ法は、綿棒で咽頭をぬぐい、その液体を培養し菌が存在しているかを確認するというものです。うがい液法は、実際に患者さんにガラガラとうがいをやっていただき、その液体を検体として確認するというものです。スワブ法ですと舌がじゃまになってうまく検体を採取できないこともありますが、うがい法では患者さんにうがいをしてもらうだけなので、検査として簡便にできますし、咽頭にいる菌をしっかりさらうことができます。

淋菌やクラミジアによる生殖器感染の治療は、咽頭感染を念頭において抗菌薬を選択する必要がります。抗菌薬が投与された後、再受診することなく治癒判定が行われないままになっていると、除菌しきれなかった症例においては再発することも考えられます。そのため、きちんと治癒確認を行うことが非常に重要となります。

咽頭感染は治療後の性器感染症の再発原因となるので、感染機会がなく再発した場合には咽頭感染も疑う必要があります。治療によって性器の病原菌が消失しても、咽頭の病原菌は残存するという症例もあります。咽頭感染は治療に時間がかかる症例が増加傾向にあり、予後を考える上で再感染を早く発見することが重要となります。そのため、完全に治ったことを確認するために検査を行う必要があります。

咽頭感染の多くには症状がありません。検査は簡単で、最近では咽頭の“ガラガラうがい”でも検査ができるようになりました。もしもオーラルセックスをした場合は検査を受けるようにしましょう。
また、一般的に性感染症を予防するためには以下のことを心がけましょう。

○不特定多数の人とセックスをしない
○最初から最後までコンドームを使用する
○愛のある健康なセックス

 

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌が人の細胞に寄生し、繁殖することが原因となって起こる感染症です。このクラミジア・トラコマティスは非常に弱い菌です。

この記事の目次

  1. クラミジアの感染ルート
  2. クラミジアを放置してしまった場合
  3. クラミジアの潜伏期間-男女ともに自覚症状が出ない場合がある

「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。

この記事の目次

  1. クラミジア感染症とは
  2. クラミジア:女性の症状
  3. 妊娠中にクラミジアに感染すると、産道感染を起こすことがある
  4. クラミジア:男性の症状
  5. クラミジア結膜炎のはなし
  6. クラミジアの検査
  7. クラミジア感染症は検査で調べることができる
  8. クラミジアの検査
  9. クラミジアの治療
  10. クラミジアは完治させることができるのか
  11. クラミジアが再発するとき
  12. クラミジアは他の病気を引き起こすこともある
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