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インタビュー

抗生物質への耐性を持つ淋菌の登場

抗生物質への耐性を持つ淋菌の登場
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

クラミジアに次いで感染者数の多い淋菌感染症の治療には抗生物質が用いられます。「スーパー淋菌」の出現が一部で話題となりましたが、このスーパー淋菌とは一体どのような存在なのでしょうか。

多くの人が性感染症に関する正しい知識を持てるよう自らも積極的に情報発信し、 親身な対応と豊富な経験や知識をいかした診療に定評のある尾上泰彦先生に伺いました。

かつて淋菌感染症の治療にはペニシリンをはじめとした抗生物質が使用されてきました。しかし、しばらくすると治療薬に耐性を持つ淋菌も誕生し、さらに新しい治療方法を模索することの繰り返しでした。淋菌感染症の治療と抗生物質の歴史は、まさにいたちごっこの状態を呈していると言えるでしょう。

2015年10月現在、日本性感染症学会が定めるガイドラインには

  • セフトリアキソン(CTRX:ロセフィン)
  • セフォジジム(CDZM:ケニセフ、イノセフ)
  • スぺクチノマイシン(SPCM:トロピシン)

以上の3つが保険適用を有し、確実に有効な薬剤として定められています。なお現在ガイドラインに定められた薬剤以外を使用する際には、症状が改善しても淋菌が陰性化したことを確認するために検査が必要とされています。ガイドライン以外では、「オーグメンチン」や、アメリカではアジスロマイシン2g(ジスロマックSR)も多用されています。

耐性菌について、くわしくは「耐性菌とはなにか」をご参照ください

一部メディアにより「スーパー淋菌」という淋菌の存在が報道されました。淋菌感染症の治療に使用される抗生物質セフトリアキソンに耐性を持つ菌が登場したという内容でしたが、ガイドライン上に定められる抗生物質に耐性を持った淋菌の登場を、どのようにとらえたらいいのでしょうか。

淋菌と抗生物質はいたちごっこの関係だということについては前述しました。これまでの治療に有効とされていた抗生物質に対しても

  • ニューロキノンおよびテトラサイクリンでは約80%、第3世代経口セフェム系薬では30~50%ほどの耐性率がある
  • 第3世代経口セフェムでは常用量ではいずれも効果は見られない
  • 抗菌力が最も強いセフィキシムでもある程度の効果が認められているが、無効例も多数報告されている

など淋菌の耐性化は進んでいます。近年発見されたと言われるスーパー淋菌は、淋菌感染症治療の特効薬と言われてきたセフトリアキソンにも耐性を持つと言われています。すでに2006年から2007年にかけての研究結果において、セフトリアキソンに耐性を持つ淋菌の存在は報告されています。

日本で1986年に発売されて以降セフトリアキソンは感受性を持つブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌などの治療に使用されてきました。淋菌の治療に適応されるようになったのは2004年と比較的最近です。

飲み薬だけで治療しようとする医師がおり、一方でセフトリアキソンばかり使用する医師もいます。このように日本の治療は両極端な傾向にあるようです。しかしこれまでの歴史を振り返れば、耐性を持つ菌がいずれ登場するだろうというのは予測できたことです。スーパー淋菌の登場と騒がれていますが、これは耐性菌が増えたということであって、これまで使用されてきた抗生物質が全く使用できなくなったという受け取り方をしてしまうのは早計と言えるのではないでしょうか。

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