いんとうえん

咽頭炎

最終更新日:
2021年04月19日
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概要

咽頭炎とは、咽頭に炎症が生じた状態を指します。ウイルスや細菌などの感染を原因として発症します。

咽頭炎では、のどの症状だけでなく、発熱や倦怠感(けんたいかん)(全身のだるさ)、吐き気といったさまざまな症状が現れることがあります。さらに、原因となるウイルスや細菌によっては、肺炎や脳症などの合併症が起こる可能性もあるため注意が必要です。

また、痛くて唾がまったく飲み込めない、口が開きにくいなどの症状があるときには重症の感染症の可能性があるため、早期に耳鼻科がある病院を受診する必要があります。

原因

咽頭炎の原因となる病原体は多岐にわたりますが、ウイルスであれば一般的なかぜのウイルスに加え、インフルエンザウイルスやEBウイルス、単純ヘルペスウイルス、そして新型コロナウイルス感染症などが挙げられます。

インフルエンザウイルスは冬季に流行する傾向があり、EBウイルスはキスなど唾液の接触を原因として感染が広がります。EBウイルスで発症する咽頭炎は伝染性単核症と呼ばれます。

細菌感染を原因として発症する場合、溶連菌が代表的です。性感染症として淋菌やHIVウイルスが原因となることもあります。

症状

咽頭炎では、喉の痛みや違和感、ものを飲み込んだときの痛みが症状として現れます。

特にお子さんの場合には唾液の飲み込みにも支障をきたすことから、よだれが多くなることがあります。また、喉の痛みに関連して水分や食事がうまく摂取できなくなると、脱水症状を起こすこともあります。

さらに、こうしたのどの症状だけでなく、以下のような症状が現れることもあります。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 首のリンパ節の腫れ
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 腹痛

など

また、痛くて唾がまったく飲み込めない、口が開きにくいなどの症状があるときには重症の感染症の可能性があるため、早期に耳鼻科がある病院を受診する必要があります。

溶連菌が原因の場合には、数週間後にリウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症が生じることがあり、関節痛や血尿、むくみなどがみられることもあります。

また、インフルエンザウイルスが原因となっている場合には、まれではありますが肺炎や脳症の合併に注意する必要があります。

検査・診断

咽頭炎は、いわゆる風邪として発症するため、問診とのどの状態などを詳しく診察することで診断できます。

インフルエンザや溶連菌が病原体として疑われる場合には、綿棒を使用してのどや鼻から検体を採取し、迅速検査を行うことがあります。また、咽頭の細菌培養や血液検査などを行うこともあります。

ただし、検査には偽陰性や偽陽性があるため検査結果が絶対というわけではなく、検査をせずに周囲の流行状況と症状・診察所見のみで診断することもあります。特殊な感染症や合併症を調べる目的で、胸部レントゲン写真や頭部CT検査、心エコー、心電図、尿検査なども状況に応じて検討されることがあります。

治療

咽頭炎の治療は対症療法が中心となります。喉の痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤や漢方薬を用いたり、脱水にならないよう食事形態を工夫して水分摂取を心掛けたりします。症状が強く水が飲めない場合には、入院して点滴などをすることがあります。

インフルエンザの場合には、幼児や高齢者においては抗インフルエンザ薬の使用が有用な場合がありますが、大多数は自然に軽快します。溶連菌の場合には、抗生物質を使用することで周囲への感染拡大を予防するばかりでなく、リウマチ熱や糸球体腎臓、心内膜炎などの発症予防となるため、症状が治まっても処方された薬剤は飲み切ることが重要です。

予防

咽頭炎はかぜの一環として発症することが多いため、インフルエンザの流行に合わせて予防接種を行うことや、日頃から手洗いを徹底するなどの予防策を講じることも大切です。

インフルエンザや溶連菌、新型コロナウイルス感染症などは咳をした際に飛び散る唾液を介して人に感染する可能性があるため、医師や職場と復帰のタイミングについて相談することが必要となります。復帰する場合でも、症状のある間はマスクの着用やこまめな手洗いが必要となります。

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