インタビュー

性器クラミジア感染症―不妊の原因にもなる

性器クラミジア感染症―不妊の原因にもなる
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

この記事の最終更新は2015年10月29日です。

性に対する不安や悩みは誰しもが抱えているものではないでしょうか。おりものの様子がいつもと違う、生理痛が年々ひどくなる。こうした不調を感じることはあっても、親しい人にも相談しにくい内容なだけに、症状が軽くなれば「ただの体調不良」と思い込んで放置してしまうかもしれません。

しかし、もしあなたが今感じている不調が性感染症によるものだとしたら、治療せずにそのままにしてしまってはいけません。とくに女性は、症状が悪化するだけではなく、不妊の原因となることもあります。

今回は日本で一番多く報告されている性感染症、性器クラミジア感染症について、山王病院病院長の堤治先生に解説していただきました。

クラミジアに感染すると、潜伏期間後(1〜3週間後)に、男性は尿や排尿痛などの急性症状が出てきて、主に尿道炎を起こします。女性は子宮頸管に感染しますが、帯下がやや増加する以外は症状が出ないこともあり、あっても軽いことが多いのです。一般的にはクラミジアの病原性は弱く、急性症状を呈することはあまり多くはありません。ほとんどは慢性持続性感染の形をとり、抗原検出あるいは抗体検出によって初めて感染がわかることが多いです。このことが受診、治療を遅らせている要因でしょう。

女性に感染するとまず子宮頸管で炎症を起こします。この時はあまり痛みがないため、ほとんどの人は自覚症状がありません。そうしているうちに、クラミジアはさらにさかのぼって行き、子宮の中で子宮内膜炎を起こし、卵管まで到達して卵管炎を起こします。炎症を起こした卵管は通りが悪くなり、症状が進むと完全につまり、卵子が子宮に出られなくなります。卵管だけでなく、さらに骨盤内、腹腔内へと感染が広がって、骨盤腹膜炎などの重い症状を引き起こします。ここまで重症になるには全体の10%程度いると言われています。

クラミジア感染症子宮頸管炎子宮内膜炎にまでなると不妊の原因となることがあります。卵管炎や骨盤腹膜炎は、卵管内で癒着を起こし、周囲の期間の癒着を引き起こすことがあり、卵管性不妊症異所性妊娠子宮以外妊娠の原因となります。

もちろんクラミジアに感染した方の全てが不妊症になる訳ではありません。実際、5%くらいの妊婦さんにクラミジア感染が見つかります。クラミジアが検出された妊婦さんは、早産前期破水の可能性があります。さらに分娩時の産道感染により、新生児が結膜炎肺炎を起こすことがあります。母から子への感染を垂直感染と呼びますが、その垂直感染率は30〜40%です。

クラミジアの治療には抗生物質が使われ、1〜4週間程度で治療することができます。妊婦にも薦めることの出来る抗生物質もあるのでしっかりと治療しましょう。ただし、薬を飲むのはパートナーと同時でお願いします。きちんと治療すれば比較的治りやすい病気です。

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