インタビュー

細胞診とは―婦人科検診では必ず行う検査

細胞診とは―婦人科検診では必ず行う検査
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

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この記事の最終更新は2015年06月05日です。

細胞診(さいぼうしん)とは、病変部の一部や細胞をこすり取って来て、その細胞を顕微鏡で観察することによって、病気があるかどうかを調べる検査です。

細胞診は一般的な健康診断で実施されることはありませんが、婦人科検診レディースドックなどでは、必ず実施される検査です。人間ドックなどで実施される場合は私費ですが、がんの疑いなどがあって実施される場合は保険診療になります。また自治体等で無料の検診を提供しているので確認してみましょう。

婦人科における細胞診は、膣鏡で膣を拡げ、直視下で子宮膣部の細胞を綿棒やスパーテル(木へら)でこすり取ります。性交の経験がある方ではほとんど痛みはなく、細胞の採取自体は数秒で終わります。また同時に子宮頸がんの原因ウイルスであるHPVの検査も同時に実施されることがあります。

細胞診の方法

細胞診の方法

また、近年増加傾向にある子宮体がんの細胞診では、子宮の内部へ届く専用の細長い器具を入れて細胞を採取します。子宮頸部(けいぶ)の管状部分が狭い方(未産婦の方、閉経後の方など)の場合は、器具を挿入する際に多少痛みを感じることもあります。

細胞診断の結果は、従来classⅠ~classⅤの5段階のクラスで評価されていました。

Class I異常所見なし

Class II炎症などで細胞の異常ではあるが悪性ではない

Class III異型(前がん状態)が考えられる
(IIIaー軽度の異型、IIIbー高度な異型)

Class IV悪性を強く疑う、0期がんが存在することもある

Class V悪性と診断

以上は日母分類といわれています。
現在も日母分類でのクラス分類はおこなわれていますが、より病状にあわせた国際的な分類法であるベセスダ分類が用いられることが多くなりました。
ベセスダ分類での分類が日母分類上のどれにあたるかを以下の表に示します。これにより、細胞診でがんの種類まで推定することができます。

ベセスダ分類推定される状態日母分類

NILM陰性Ⅰ,Ⅱ

ASC-US軽度上皮内病変疑いⅡ,Ⅲa

ASC-H高度上皮内病変疑いⅢa,Ⅲb

LSIL軽度異形成Ⅲa

HSIL中等度以上の異形成Ⅲa,Ⅲb,Ⅳ

SCC扁平上皮癌Ⅴ

AIS上皮内腺癌Ⅳ

Adenocarcinoma腺癌Ⅴ

細胞診は病変の表面の細胞をこすり取って診断するものですが、細胞診で異常が疑われた場合、病変組織を一部切除する組織診という検査で、正確な診断をおこないます。子宮頸がんの場合は、コルポスコープという膣拡大鏡診のもとで、病変を見極めて組織を採ることが大切です。

記事1:内診と婦人科の検査について―内診とは? 検査の種類は?
記事2:細胞診とは―婦人科検診では必ず行う検査
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記事5:MRI検査とは―CT検査との違いについて
記事6:ホルモン検査とは―婦人科の重要な検査
記事7:組織診とは―痛いのはなぜ?細胞診との違いは?

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