内科に比べて婦人科の受診に抵抗感がある方は多いのではないでしょうか? その理由のひとつに「診察や検査が痛くて辛いこと」を挙げる方も少なくないはずです。婦人科の診察(内診)や検査にはやや特殊なものが多いので、「何のためなのかよくわからない」という方もいるでしょう。
今回はそんな婦人科の診察(内診)や検査の種類とポイントについて、婦人科の腹腔鏡手術の第一人者・堤 治先生にうかがいました。
子宮、卵巣の疾患にはいろいろな種類があり、必要に応じて様々な検査がおこなわれます。疾患として一番頻度が高いのは子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)といった良性腫瘍ですが、悪性疾患(がん)も見逃してはいけません。また膣の炎症や月経異常などもさまざまな検査で診断を進めます。
主に以下のような検査を後述する内診(婦人科診察)とあわせて行います。
・細胞診
・組織診
・膣分泌物検査
・超音波検査
・MRI検査 / CT検査
・ホルモン検査
このように婦人科には色々な種類の検査があります。各検査について、
・どのような検査なのか?
・何を調べるために行う検査なのか?
・どのように行う検査なのか?
・時間、費用はどのくらいかかるのか?
についての知識を深めていくとよいでしょう。
婦人科にはたくさんの検査がありますが、大切なことが1つあります。それは「検査だけをして、内診(婦人科診察)を省略することはできない」ということです。
内診とは、片手の指を膣内に、もう片側の手をおなかの上に置いて、子宮や卵巣の状態を評価する診察方法です。大きさの評価という点では超音波やMRIに比べると客観性に劣る方法ではありますが、「腫瘍(しゅよう)や嚢腫(のうしゅ)が周りと癒着(ゆちゃく:くっつくこと)しているか」「痛みを訴えているが、その箇所はどこか」などといったことに関しては、どんな検査よりも詳細な評価が可能です。
患者さんから「MRIの画像や血液検査をすればそれで十分ではありませんか? 内診をする必要ってあるのですか?」という質問を受けたことがあります。たしかに内診の性質上、恥ずかしいと感じたり、不安になったりする患者さんは多いと思います。
しかし、内診はとても大切です。なぜなら痛みや癒着などは、画像やほかの検査ではわからないからです。
特に子宮内膜症や、救急疾患である異所性(子宮外)妊娠の診断、産科の分娩時の判断などは、癒着がどのような状況にあるのを知ることが重要で、内診なくしては考えられません。状況の適切な判断のためには診察と検査のコンビネーションがとても大切なのです。
記事1:内診と婦人科の検査について―内診とは? 検査の種類は?
記事2:細胞診とは―婦人科検診では必ず行う検査
記事3:おりもの検査(膣分泌物検査)とは―におい、量、かゆみ…おりものに異常を感じたら
記事4:超音波検査とは―その特徴、メリットは?
記事5:MRI検査とは―CT検査との違いについて
記事6:ホルモン検査とは―婦人科の重要な検査
記事7:組織診とは―痛いのはなぜ?細胞診との違いは?
山王病院(東京都) 名誉病院長
堤 治 先生の所属医療機関
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