「おりもの」については、悩みがあっても受診をためらう女性は多いのではないでしょうか。量や色、においなど、気になることはあっても、つい躊躇してしまいがちです。
「こんなことで受診していいか迷った」「はずかしかった」とは、受診された女性からよく聞く話です。でもその「気になるおりもの」は、もしかしたら治療しないといけないものかもしれません。そんな「おりもの検査」について、婦人科の腹腔鏡手術の第一人者・堤 治先生ににうかがいました。
膣分泌物(ちつぶんぴつぶつ)検査とは、文字通り、膣から分泌される成分、いわゆる「おりもの(帯下)」を検査する方法で、「おりもの検査(帯下検査)」と言われることもあります。
女性の膣には様々な炎症性疾患が生じます。性感染症(性病)も含め、そうした炎症性疾患は膣分泌物の検査で診断されます。
膣分泌物検査の方法は感染症の種類によって違い、トリコモナス、カンジダは顕微鏡検査が主で、クラミジア、淋病はDNA検査を行います。GBSという細菌は新生児に感染すると重大なことがあるので、妊娠中期~後期に検査をすることがあります。
顕微鏡検査の場合は、膣分泌物をピンセットの先に少量とり、プレパラートの上で一滴の水を加え顕微鏡で観察します。すると、トリコモナスは特異な形をして動きまわっています。カンジダはカビの一種です。これによってどの病原体に感染しているのかがわかりますが、最終的な診断の確認や病原体が抗生剤への耐性を持っているかどうかを判断するために、培養検査を追加することもあります。
一方DNA検査を行うクラミジア、淋病は長い綿棒を使って膣内の分泌物をこすり取り、それを保存容器にいれて検査室で分析します。これらの検査には、結果が出るまでに2~3日の期間が必要になります。
膣分泌検査は、婦人科の一般検査として、「膣からの分泌物量が増えた、おりもののためにかゆみがある」などの症状がある場合に行います。不妊や妊娠初期の検査として行うこともあります。
ただし、注意しなければいけないのは、性感染症の場合です。性感染症には自覚症状が全く無いものもあります。医師によっては、性行為がある方には、年に1回程度、膣分泌検査を受けることを勧めている場合もあります。
症状の有無にかかわらず、すこしでも気になった方はぜひためらわず、膣分泌物検査を受けましょう。
記事1:内診と婦人科の検査について―内診とは? 検査の種類は?
記事2:細胞診とは―婦人科検診では必ず行う検査
記事3:おりもの検査(膣分泌物検査)とは―におい、量、かゆみ…おりものに異常を感じたら
記事4:超音波検査とは―その特徴、メリットは?
記事5:MRI検査とは―CT検査との違いについて
記事6:ホルモン検査とは―婦人科の重要な検査
記事7:組織診とは―痛いのはなぜ?細胞診との違いは?
山王病院(東京都) 名誉病院長
堤 治 先生の所属医療機関
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