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インタビュー

子宮筋腫・卵管周囲癒着・子宮内膜症などを要因とする不妊症の腹腔鏡下治療

子宮筋腫・卵管周囲癒着・子宮内膜症などを要因とする不妊症の腹腔鏡下治療
渡邊 良嗣 先生

福岡山王病院 産婦人科部長

渡邊 良嗣 先生

不妊症子宮筋腫以外にも、卵管や卵巣などの子宮附属器の異常や子宮内膜症が原因で起こることも少なくないため、妊娠を妨げる要因についてしっかりと検査することが必要です。福岡山王病院 産婦人科部長の渡邊良嗣先生に、不妊症に対する腹腔鏡下検査と治療についてお話を伺いました。

子宮筋腫をはじめ、卵管や卵巣といった子宮附属器の異常・子宮内膜症など、不妊症となる原因にはさまざまなものがあります。

子宮は、子宮の内腔いわゆる子宮内膜に受精卵を着床させて発育させるという役割があります。そのため子宮筋腫ができると、子宮内腔が変形する等の理由で着床障害などを起こし、不妊の原因となります。また、卵管や卵巣の周囲に癒着が生じると卵子の移動に問題が起こるため、子宮内膜症があると受精障害等が起こります。子宮内膜症も妊娠しにくくなる原因といえます。

 

子宮筋腫について詳しくはこちら

子宮内膜症について詳しくはこちら

妊娠が成立するためには、以下の5つのステップが必要です。

  1. 排卵する
  2. 卵子が卵管に入る
  3. 受精する
  4. 分割しながら子宮に移動する
  5. 着床する

卵巣から放出された卵子は、卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)という器官によってピックアップされて卵管の内に導かれ、精子と出会い受精卵となって子宮に着床します。筋腫や癒着、子宮内膜症のため、この一連の流れの中のどこかで異常が起きると不妊症となります。

医学の進歩によって、最近は多くの方が 体外受精(IVF)や 顕微授精(ICSI)といった高度生殖医療(ART)を受けるようになりました。最新のデータによると、赤ちゃんの約25人にひとりが高度生殖医療の治療によって生まれています。

 

高度生殖医療について詳しくはこちら

しかし、妊娠というのは、できるだけ夫婦の自然な営みによって成立することが望ましいと思います。

できるだけ自然に妊娠するために、一般的な不妊症治療で妊娠しない場合には、妊娠を妨げている原因がないか、一度お腹の中の状態を詳しく検査して治療することもひとつの選択肢です。外来で行う超音波検査や子宮卵管造影などの検査だけでは、お腹の中の癒着などといった妊娠しにくくなる微妙な異常はわかりません。すなわち、タイミング法(排卵の時期を正確に知ってそれに合わせて夫婦生活を持つ方法)などを試みたあとすぐに高度生殖医療を行うというのではなく、さらに詳しい検査を行った方が良いという考え方です。

 

不妊症の検査について詳しくはこちら

以前はお腹の中を観察するために10センチほど腹部を切開する必要がありましたが、今は腹腔鏡を使って小さな創のみで確認することが可能です。福岡山王病院では、おへそに1.5センチと、両脇にそれぞれ5ミリの穴をあけてお腹の中を観察しています。卵管や卵巣周辺に癒着等があれば、お腹の中を確認すると同時に癒着剥離術を行うことができます。また子宮内膜症があれば電気凝固治療により内膜症病変を改善することも可能です。この治療によって自然妊娠される方も少なくありません。

卵巣から放出された卵子を拾い上げる卵管采が感染症などの原因で閉じている卵管閉塞の場合には、すぐに体外受精を行う考え方もありますが、手術により卵管を形成して自然に妊娠することを目指す方法もあります。

 

卵管閉塞について詳しくはこちら

卵管形成術とは閉じている卵管采を切り広げて卵管の通過性を回復させる手術です。自然に妊娠できる可能性がでてきますが、100%の効果ではありません。卵管の中にある卵子を子宮に移送する繊毛(じゅうもう)の状態が悪ければ自然妊娠は難しい場合もあります。

手術による治療でどのくらいの確率で妊娠できるかは、なかなか分かりません。それぞれの状況が異なるからです。しかし手術を行うことにより、妊娠に向けてのお腹のなかの環境が改善されることは間違いありません。

ただし、子宮の内腔が変形を来している粘膜下筋腫の場合は、筋腫核出術を行うことによりかなりの高率で妊娠しやすくなることは予測できます。

妊娠は、各段階のステップがうまく進んで成立するものです。不具合のある段階が一つなのか複数あるのか、はっきりと分からない場合もしばしばあります。そのため、不妊症の治療では、妊娠の障害となる要素をひとつひとつ取り除くことが必要となります。薬による治療に加えて、手術による治療を行うことで、さらに自然に妊娠する可能性を上げていくことができるのです。

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