晩婚化や晩産化を背景に、筋腫があっても子どもを希望する女性は増加傾向にあるようです。福岡山王病院 産婦人科部長の渡邊良嗣先生に、筋腫の手術治療についてお話を伺いました。
子宮筋腫は子宮の中にできる腫瘤のことで、良性の婦人科疾患の中ではもっとも多い病気です。筋腫はできた場所によって「漿膜下筋腫」「筋層内筋腫」「粘膜下筋腫」の3つのタイプに分類されます。大きくても症状が現れないこともあれば、小さいものでも症状が強く現れるなど、できた場所によってそれぞれ症状も異なります。
筋腫の手術治療は二通りです。筋腫のコブだけを取る子宮筋腫核出術と、子宮を全て取る子宮全摘術のどちらかを行います。
筋腫だけを取る子宮筋腫核出術の大きなメリットは、子宮を温存できることです。基本的には、これから妊娠を考えている方、子宮がなくなると困るという方が対象になります。しかし、子宮を残せるというメリットがある一方で、デメリットがあります。それは筋腫が再発する可能性があること、手術時に出血が多くなり輸血を必要とする可能性が高くなることです。
筋腫は最初から大きいわけではなく、目に見えないくらいの小さなものが徐々に大きく成長していきます。そのため、目に見える2~3ミリ以上の筋腫を全て取ったとしても、再発を完全に防ぐことはできません。しかし、挙児(子どもを持つこと)希望で子宮を残したいということであれば、子宮内に複数個の筋腫ができる多発性筋腫や非常に大きな筋腫であっても、子宮筋腫核出術による治療を行って子宮を温存します。これはすでに子どもがいる方であっても同様です。
以前は、子どもがいて閉経も近いという方の場合には、子宮全摘術を勧めていました。子宮を残すと筋腫再発の可能性があることや、子宮全摘術と比べて子宮筋腫核出術は出血など手術自体のリスクが高くなるからです。
筋腫の数が多くなればなるほど出血のリスクは高まりますので、そういったリスクを冒すよりも、子宮を全摘したほうがメリットは大きいとは考えられます。しかし現在では、子宮を残したいという希望があれば、患者さんの希望に沿った治療を行うようにしています。
一方、子宮を全て取る子宮全摘術のメリットとしては、「原因となっているものを取り除くため再発することがない」「女性に多い子宮がんの心配もなくなる」という点が挙げられます。デメリットとしては、子宮がなくなるため妊娠することができなくなります。そのため挙児を希望される方にはお勧めできない治療法です。ただし、子宮を全摘出しても体調不良になることはありません。たとえば夫婦生活も、子宮がないことにより具合が変わることはありません。
福岡山王病院では、子宮筋腫核出術をこれまで数多く行ってきました。現在は、年に平均して400例ほどの手術を行っています。施設によっては、子宮筋腫核出術を行っていないというところも少なくありません。
筋腫核出術の予定で手術をしても、術中に出血が止まらずに子宮全摘術に切り替え、結果的に子宮を摘出したといった話を聞くこともありますが、福岡山王病院では手術で出血が止まらずに筋腫核出術から子宮全摘術に切り替えたということはこれまで1例もありません。
福岡山王病院 産婦人科部長
福岡山王病院 産婦人科部長
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医日本生殖医学会 生殖医療専門医・代議員日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医・指導医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(産科婦人科領域)
福岡山王病院副院長。産婦人科部長として子宮筋腫や卵巣腫瘍など良性の婦人科疾患、不妊症の治療にあたっている。傷の小さな腹腔鏡下手術や、開腹しない膣式手術および子宮鏡下手術など低侵襲な手術を中心とした治療に長年取り組んでいる。挙児を希望する方には自然に近い形で妊娠できるよう、一般的不妊治療と腹腔鏡手術などの治療を組み合わせながら治療を行っている。更年期障害や月経不順などに対する女性のヘルスケアにも取り組んでいる。
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子宮筋腫による子宮全摘について
臀部から腿にかけて数か月痛み、整形外科を受診したところ椎間板ヘルニアと診断され、その原因がMRIを撮ったことでとても大きい子宮筋腫が原因ではないかと診断されました。 婦人科で受診したところ、子宮筋腫が多発し大きい為、子宮全摘が最善と診断を受けました。 筋腫の種類としては、筋層内・漿膜下・粘膜下全てに複数存在します。現在、セカンドオピニオンを受けるべく準備しておりますが、 実費となる為、少し躊躇しております。子宮筋腫が多発している場合、子宮全摘は一般的なのでしょうか。
今後の検査は必要ですか?
2014年に子宮筋腫の手術をしました。 2022年の検査で子宮頚部:好中球、表層型~中層型の扁平上皮細胞が認められます。明らかな異型細胞はみられません。という結果でした。 医師には今後こちらの病院での検査は出来ないので市の定期検査をしてください。と言われましたが、表層型~中層型の扁平上皮細胞が認められます。は病気ではないということでしょうか? 私としては子宮筋腫の術後のイレウスで現在も毎日不具合と痛みが続くことでこちらの病院に通うのでそのついでに1~2年に一度子宮頚部の検査をして頂きたいと思いますが、それは無理なことでしょうか? 以上、2点教えてください。
検査を早めた方が良いか
変性した8cmほどの筋腫があり、悪性の可能性を完全に否定できないとのことで大学病院にて経過観察中です。定期検診の血液検査でca125が160だったのですが、生理中(5日目)の影響だろうとのことでした。 MRI検査の期間が前回から少し空いているが、すぐ行うか半年先にするかとたずねられ、半年後に予約したのですが、上記の数値が少し高めということを後になって認識し、検査を早めた方が良いのか迷っています。 エコー検査では特に大きな変化はないと言われています。
手術後の微熱
5月中旬に子宮筋腫核出の開腹手術を受けました。術後の経過は順調で、自宅静養中です。術後3週間過ぎた頃から微熱が出たり出なかったりする状態が続いています。自宅で自己にてコロナ抗原検査キットを2回使用し陰性。術後検診を急遽行い採血でもCRPやWBCの上昇なしで、傷も綺麗。経膣エコーも問題ない状況です。ホットフラッシュのように一時的に暑くなり、衣服調整にて平熱に戻ったりします。子宮筋腫を喀出したことで、一時的に更年期障害のような症状が出たりするのでしょうか。それとも何らか病気を考えた方が良いのでしょうか。
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