インタビュー

子宮筋腫の症状とは?

子宮筋腫の症状とは?
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

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この記事の最終更新は2015年05月30日です。

子宮筋腫」という言葉は多くの方が聞いたことがあるのではないでしょうか? 子宮筋腫は少ない妊娠と出産回数が原因のひとつと考えられていて、晩婚化・少子化のすすむ先進国で増えている病気です。

日本では成人女性の3人に1人はもっていると言われる子宮筋腫ですが、ひとくちに「筋腫」と言っても、筋腫がある場所や大きさ、そして引き起こされる症状は多岐にわたります。「調べてみたけどよくわらからない」という方も多いかもしれません。

今回は子宮筋腫の症状や概要など、基本的なことがらについて、婦人科の腹腔鏡手術の第一人者・堤先生にきいてみました。

 
子宮筋腫は下のイラストのように3つに分けられます。この分類が大切で、場所や大きさを検査し、症状を考慮した上で治療を進めていきます。

子宮筋腫

1:粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
子宮粘膜の部分にこぶができます。最も浅い位置にあるため、これが不妊症過多月経(出血量が増える)、月経困難症(月経時に痛みが強くなる)など様々な症状を引き起こします。(子宮筋腫の症状を参照)

2:筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
筋肉の壁の中にできます。できる場所と大きさが問題になります。場所が子宮内膜に近い、もしくはある程度大きくなってくると症状がでてくることがあります。

3:漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
子宮の外側に発育していくため、かなり大きくなってもあまり症状を起こしません。気がつかない方もいるくらいです。具体的には大人の握りこぶし大くらいであれば問題ありませんが、それより大きくなると圧迫症状や違和感が出てくることがあります。閉経後には縮んでいくので、閉経まで乗り切れば一安心と考えられます。

子宮筋腫の症状として以下のようなものが挙げられます。子宮筋腫は症状がない場合には特に治療をせずに経過を観察しますが、これらの症状により日常生活に支障をきたす場合には治療を行うことも検討されます。

子宮筋腫のために月経血量が多くなって(過多月経)、その結果として貧血を引き起こすことがあります。子宮筋腫の場合、月経血量は、筋腫の増大にともなってゆるやかに増えることが多いため、貧血に気付かず、ただ「最近疲れやすくなったなあ」と感じている人もいます。

初診の患者さんに「階段を駆け上がったら息が切れませんか?」と聞くと、「どうして分かるんですか?」と聞き返されることがよくあります。その疲れやすさの原因が子宮筋腫による貧血であることがあるのです。

月経困難症は月経(生理)痛がひどくなってしまった状態のことを言い、子宮筋腫も原因のひとつになります。鎮痛剤を飲んでも日常生活や仕事に支障をきたすほどの痛みがある場合は、ホルモン治療や手術など、ほかの治療法について、医師に相談してみるとよいでしょう。

子宮筋腫が大きくなり、膀胱を圧迫してしまうと頻尿となります。また、尿道を圧迫すると尿閉を引き起こし、尿が出なくなることもあります。

子宮筋腫が原因となって不妊症となるかどうかは、筋腫のできる場所によって決まります。

子宮の内側に発生する粘膜下(ねんまくか)筋腫の場合、筋腫が子宮内腔(しきゅうないくう)を占拠することがあります。この場合、子宮筋腫が受精卵の着床を妨害してしまい、不妊の原因になります。

子宮の筋層の壁に発生する筋層内(きんそうない)筋腫の場合は、不妊の原因となるかどうかは大きさと位置によります。内腔に近く、内腔に変形をきたす場合は不妊の原因になることがあります。

子宮の外側に発生する漿膜下(しょうまくか)筋腫は直接的に不妊の原因になることはありません。

通常、妊娠すると子宮は赤ちゃんの大きさによって伸縮しますが、子宮筋腫があることによってのびにくく、また縮みにくくなることがあります。結果として切迫早産になりやすかったり、産後に出血しやすくなってしまうため、子宮筋腫を指摘された方は妊娠中に注意が必要です。

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