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生理不順を改善するには何をすればよい?〜年齢やストレス、体型によって改善策が異なる〜

生理不順を改善するには何をすればよい?〜年齢やストレス、体型によって改善策が異なる〜
河村 和弘 先生

順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療...

河村 和弘 先生

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生理不順は医学的に“月経不順”と呼ばれ、生理(月経)周期が正常の範囲内ではないことをいいます。正常な範囲内とは、月経周期の定義を“月経が始まった日を1日目”とし、“次の月経が開始する前日まで”としたときに、周期が25~38日に納まるものをいいます。また、生理(出血)期間の正常な範囲は、3~7日間だといわれています。なお、妊娠に伴って生理が止まることは生理不順とはいわないため、妊娠の可能性がないことも生理不順の条件です。

生理不順の原因には主に①女性ホルモン②病気が関係しているといわれ、それぞれで改善策が異なります。そこで本記事では、生理不順の原因ごとに改善策や治療法について詳しく解説します。

生理不順の原因の多くは、生理や生理周期を支配する重要な役割を果たす女性ホルモンのバランスが崩れることだとされています。これを誘引するものとしては、年齢やストレス、体型(体重)などが挙げられます。それぞれの詳細と改善策は以下のとおりです。

女性ホルモンは特に、生理が始まる“思春期”や、閉経が始まる“プレ更年期”にバランスが乱れることがあるとされています。しかし、同じ生理不順でも年齢によって改善策が異なります。そのため、以下の年齢に該当する方で、気になる症状があるあ場合は放置せずに産婦人科を受診するとよいでしょう。

思春期(10〜14歳頃)

生理が始まるのは、だいたい10〜14歳頃だといわれています。この時期は、排卵が未確立であることも多く、生理周期も不安定な時期です。そのため、年間3~4回の生理があればすぐに治療を行うことはせず、成長を待って治療を検討することがあります。しかし、思春期においても、生理不順は卵巣機能不全早発閉経)の初発症状である可能性があるため、その場合は専門的な診察が必要です。

プレ更年期(40歳代前半頃)

女性ホルモンの分泌は、30歳代後半から少しずつ減り始め、日本人の場合は平均50歳代前後で閉経するとされています。なかでも40歳代前半頃のプレ更年期の場合は、閉経が近づき、女性ホルモンも減るので、生理不順を生じることもあります。

この年齢では、妊娠を希望しない場合は、婦人科がん検診(子宮がん検診など)を行い、閉経まで経過観察をします。また、女性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが崩れる時期であるため、更年期障害のような症状が見られる場合は生理不順や更年期障害の症状を和らげる目的で、ホルモン補充や漢方薬による治療を行うこともあります。一方、妊娠希望の場合は、排卵をおこす排卵誘発剤の投与など積極的な不妊治療が必要となります。

過度の疲労やストレスが原因で女性ホルモンのバランスが崩れ、生理不順になることがあります。そのため、まずは自身で十分な休息やストレス解消を心がけることで、生理不順の改善が期待できます。また、ストレス解消には、適度な運動も大切です。ただし、運動をやり過ぎて体脂肪率が22%以下になると、生理不順につながることがあるため注意が必要です。

このようにストレス解消を心がけても生理不順が改善されない場合は、産婦人科の受診を検討するとよいでしょう。産婦人科では、ホルモン補充療法やカウンセリングなどの治療が検討されることもあります。

肥満や痩せすぎも、女性ホルモンのバランスが乱れて生理不順の原因となることがあります。その場合はまず自身で健康的な体づくりを心がけるとよいでしょう。

肥満や低体重(やせ)の判定に使用されるBMI*の値では、18.5未満が“やせ”、25.0以上が“肥満”と定義されています。肥満女性の場合は、63%に無月経(3か月以上生理がこない)、稀発月経(月経周期が39日以上)などの月経異常があるとされています。一方、やせている女性(特に体脂肪率が22%以下)の場合でも生理不順が起こりやすく、精神的な要因で痩せている場合は無月経になることもあります。

また、急激な体重減少(5kg以上、または10%以上の減少)が生じたり、体脂肪率が17%以下になると、体重減少性無月経に陥ることもあります。そのため、過度なダイエットや、暴飲暴食、運動不足など肥満につながる生活習慣は避け、健康的な体づくりを行うことが大切です。

この場合は、医療機関で治療を受けることも可能です。ダイエットやストレスが原因の場合は、婦人科でホルモン補充療法の検討やカウンセリングが行われます。体重減少性無月経と神経性食思不振症(拒食症)が考えられる場合は、心療内科によるサポートが必要となることもあります。

*BMI…体重(kg)÷身長(m) 2で求める値

生理不順の原因の背景には、婦人科系の病気が隠れている可能性もあり、子宮内膜症子宮筋腫卵巣機能不全多嚢胞性卵巣症候群など、子宮や卵巣の病気が原因で生理不順を生じることもあります。

たとえば、多嚢胞性卵巣症候群は、卵胞(卵子が放出される細胞の集まり)が発育するのに時間がかかり、なかなか排卵しない病気(排卵障害)です。この場合、生理不順が生じるほか、無月経や不妊の原因になることもあります。また、卵巣機能不全では、卵巣内の卵胞数が病的に減少し、卵胞が発育しにくくなり、その結果生理不順となります。こちらも重症化すると無月経や不妊の原因となります。

このように、病気が原因となっている場合は治療が必要になることもあるため、数か月から半年以内に生理不順が改善されない場合は産婦人科の受診を検討しましょう。                         

生理不順の原因はさまざまにあると考えられており、その原因によって改善法も異なります。まずは原因を取り除くことが重要でが、その判断を自身で行うのは困難です。そのため、セルフケアでなかなか改善しない場合や、生理不順のほかに強い月経痛、異常な出血などが見られる場合は、病気の可能性も踏まえて産婦人科の受診を検討するとよいでしょう。

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  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授、 国際医療福祉大学 高度生殖医療リサーチセンター センター長

    河村 和弘 先生

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