編集部記事

生理不順はストレスが原因?〜ストレスホルモンによって生理が遅れている可能性も〜

生理不順はストレスが原因?〜ストレスホルモンによって生理が遅れている可能性も〜
河村 和弘 先生

順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療...

河村 和弘 先生

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生理不順とは医学的に“月経不順”と呼ばれ、生理(月経)周期の異常や出血日数の異常のことをいいます。

生理周期は一般的に生理が始まった日を1日目として数え、次の生理が始まる前日までが25~38日におさまるのが正常とされています。また、出血日数は3~7日間が正常とされています。

生理不順の要因はさまざまですが、そのなかの1つにストレスによって生じることも知られています。では、ストレスが原因となる生理不順はどういう仕組みで生じるのでしょうか。また、改善策には何があるのでしょうか。

まずは生理が起きる仕組み、つまりなぜ生理周期が一定にコントロールされているのかを理解しましょう。

生理が起きるのは脳のホルモンの分泌を調整している部位“視床下部”と“下垂体”から分泌されたホルモンによって生理が始まり、生理周期がコントロールされています。しかし、このホルモンの分泌バランスが乱れることで生理周期が乱れ、生理不順が生じることがあります。

生理が起きる仕組み

生理周期が生じる仕組みとは
子宮の構造

 

まず、脳の視床下部から性腺刺激ホルモンが放出されることで、下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が促されます。これらのホルモンは卵巣にはたらきかけ、卵胞(卵子が成長する細胞の集まり)の発育を促します。

卵胞からはエストロゲンが分泌され、このホルモンのはたらきにより子宮内膜が厚くなります。エストロゲンの分泌がピークになった後は、黄体形成ホルモンの大量分泌(LHサージ)がおこり、卵子の成熟と排卵が起こります。

排卵後、卵胞は黄体になり、エストロゲンとプロゲステロンが分泌されて、子宮内膜は受精卵が着床しやすい状態に変化します。しかし、受精卵が着床しなかった場合、黄体が退化し、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が減ることで子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに子宮から排出されるのです(生理が始まる)。

このような仕組みで生理が起き、1〜6が一定の周期で繰り返されます。

通常は前述のような仕組みで生理が始まりますが、この仕組みのどこかで異常があると生理不順が生じるとされています。その要因の1つにストレスが挙げられます。では、なぜストレスによって生理不順が生じるのでしょうか。

過度なストレスを感じると、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH:ストレスホルモンとも呼ばれる)が分泌されます。このホルモンにはGnRHの分泌を抑制するはたらきがあり、ストレスを受けるとGnRHの分泌が抑制され、最終的にエストロゲンやプロゲステロンの産生も抑えられてしまうため、生理不順につながるとされているのです。

前述のストレスホルモン(CRH)は、体重の減少による生理不順でも分泌が促されることが知られています。さらにこの場合は、ニューロ ペプチド (YNPY)、β-endorphinの分泌も増加させます。これらも生理周期に関わるGnRHの分泌を抑制するはたらきがあり、結果的に生理不順につながることがあるため、注意が必要です。

また、体重が減少すると脂肪細胞から分泌されるレプチンも低下します。レプチンはエストロゲンの分泌に関わるホルモンの分泌を抑制するため、これによって生理不順が生じることもあります。

以上のことから、ストレスによって生理不順が生じている場合はストレスを解消することで生理不順の改善が期待できます。そのため、十分な休息や気分転換などを心がけ、ストレスを解消できるよう環境を整えるとよいでしょう。

また、即効性には欠けますが基礎体温を記録することで体のリズムを把握できるため、正確なデータを把握して医師に伝えるとよいでしょう。このような情報は受診の際に役立ちます。

ただし、生理不順にはストレス以外にもさまざまな原因があり、場合によっては病気が隠れていることもあります。たとえば、月経痛や月経時以外に下腹部の痛みが見られる場合は子宮内膜症などの可能性も考えられます。また、生理不順の原因によっても改善策が異なるため、ストレス解消を心がけても生理不順が改善されない場合は産婦人科の受診を検討するとよいでしょう。特に3か月(月経周期3サイクル)以上生理が来ない場合は続発性無月経の可能性もあるため、産婦人科の受診が必要となることがあります。      

産婦人科では、生理不順の原因を調べるためにホルモン検査が行われることがあります。FSH、LH、エストロゲン、プロゲステロン、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン:CRHによって分泌が促進される)などは血液検査で測定可能であるため、これらの数値から生理不順の原因がストレスであるかどうかなどが判断できます。

また治療法としては、ホルモン療法やカウンセリングが選択肢として挙げられます。特に拒食症など生理不順の要因としてストレスと体重減少が相互に関わっている場合は、カウンセリングといった心療内科的なサポートが行われることもあります。

ストレスによってホルモンバランスが崩れ、生理不順が起こることがあります。そのため、ストレスを自覚している場合はストレスを解消することで生理不順の改善も期待できます。ただし、ストレスを解消しても生理不順が改善されない、下腹部に強い痛みがあるなどの場合は、ほかに原因がある可能性もあるので婦人科の受診を検討するとよいでしょう。

また、日頃から基礎体温を記録しておくと自分の生理周期が把握でき、診察の際にも明確なデータとして医師に伝えられ診断時に役立ちます。そのほか、問診で家族歴、既往歴、生活習慣などを聞かれることがあるため、受診の際は事前に情報を整理しておくとよいでしょう。

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  • 国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授、 国際医療福祉大学 高度生殖医療リサーチセンター センター長、順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師

    河村 和弘 先生

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