一般的な腹膜や卵巣ではなく、腸や尿管、肺、脳などの部位に子宮内膜が発症するものを、希少部位の子宮内膜症といいます。希少部位の子宮内膜症は以前まで、異所性子宮内膜症といわれていました。しかしそもそも子宮内膜症とは、本来とは異なる場所に子宮内膜が発生する疾患のことを指しており、すべての子宮内膜症は異所性であるといった意見がみられました。そのため現在では、異所性子宮内膜症ではなく希少部位の子宮内膜症といわれるようになっています。
今回は記事2『子宮内膜症の症状とは 月経痛や月経血の量の増加』に引き続き倉敷成人病センター院長の安藤正明先生に、希少部位の子宮内膜症についてお話をうかがいました。
記事1『子宮内膜症とは 好発年齢や好発部位について』で述べた、卵巣や腹膜、骨盤といった場所以外に、まれではありますが子宮内膜が発生することがあります。その場合は希少部位の子宮内膜症となります。具体的な発生部位としては
といった場所に子宮内膜が生着します。
希少部位の子宮内膜症の場合、月経痛といった本来の子宮内膜症の症状に加え、子宮内膜が発生した臓器の機能障害が起こります。
(子宮内膜症の症状については、記事2『子宮内膜症の症状とは 月経痛や月経の量の増加』をご参照ください)
たとえば尿管に子宮内膜が発生する尿管子宮内膜症の場合、尿管が狭窄(狭くなること)し、ひどくなると詰まった状態になることもあるため、進行すると腎臓の機能に障害を与えます。
尿管が詰まる場合、通常であれば腎臓のあたりに痛みを伴います。しかし子宮内膜症では痛みを伴わない患者さんも多く約50%が無症状と思われます。子宮内膜症が発見されたときには、腎臓の機能が失われているというケースもあるのです。
腸に子宮内膜症が発生するケースでは、子宮内膜によって腸が狭窄(狭くなること)し便が通らなくなり、腸閉塞を起こしたりや排便困難となる場合また下血がおこる可能性もあります。
直腸に子宮内膜症が発生する直腸子宮内膜症は、がん化するケースが多いといわれています。倉敷成人病センターで今までみた直腸子宮内膜症の患者さんのうち、3人はがん化していました。約3%以上ががん化するということになり、これは決して少ない確率ではありません。
肺に子宮内膜症が発生するケースもあります。患者さんによっては、月経のたびに気胸(肺に穴が開く疾患)を発症し胸痛や呼吸困難がおこる方もいらっしゃいます。
子宮内膜症は腹膜の表面に発生する場合が多いですが、まれに腹膜表面よりも5ミリメートル以上深い場所(後腹膜)に進入したものもあります。そのような子宮内膜症は深部子宮内膜症といわれています。
子宮と直腸の間にあるダグラス窩という場所と、その周辺組織たとえば子宮後頚部や仙骨子宮靱帯などによく発生します。
記事4『子宮内膜症の治療方法 薬物療法と手術療法がある』では、子宮内膜症の治療法について詳しく解説します。
倉敷成人病センター 理事長
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