インタビュー

閉経とは? 専門医にきく5つの基本

閉経とは? 専門医にきく5つの基本
山王メディカルセンター女性医療センター長、国際医療福祉大学教授 太田 博明 先生

山王メディカルセンター女性医療センター長、国際医療福祉大学教授

太田 博明 先生

月経はいつかは終わるもの。しかし、閉経についてどれだけ正確に知っているでしょうか。閉経になる年齢、閉経が近づいた時に起こること。基本的なことをあらためて、山王メディカルセンター・女性医療センター長の太田博明先生に訊きました。

Q1  閉経とは、どんな状況のことですか?

A. 40歳を過ぎて1年以上月経がない場合、1年前の最終月経の年齢をもって閉経年齢とします。

閉経とは、WHO(世界保健機関)によると「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止」とされています。医学的には40歳を過ぎて1年以上月経がない場合、1年前の最終月経の年齢をもって閉経年齢とします。

Q2 閉経年齢はどれくらいですか?

A. 平均して50歳前後。しかし個人差があり、平均閉経年齢は高齢化の傾向にあります。

閉経の年齢は平均して50歳前後、48-52歳と言われていますが、個人差があり、40歳位で閉経になる人や、反対に55、6歳頃まで閉経にならない人もいます。

日本産科婦人科学会の1995年の調査によれば、閉経の50%タイル値(50%の人が閉経を迎える年齢)は50.54歳とされ、10%タイル値(10%の人が閉経を迎える年齢)は45.34歳、90%タイル値(90%の人が閉経を迎える年齢)は56.34歳とされていました。

しかし、2012年の日本女性医学学会による日本人看護師を対象とした研究(Japan Nurses Health Study)から、日本人女性の平均閉経年齢は52.2歳と高齢化しています。平均寿命や健康寿命が延びるように、閉経年齢もこの17年間に約1.7歳延長しています。

Q3 閉経の迎え方は?

A. 人により様々です。ただし60歳を越えて出血のある方は検査が必要です。

閉経に至るまでの経過は人により様々です。1990年のデータで古いのですが、最も多いタイプが月経の量が少なくなり、月経周期も長くなる過少月経の方で、全体の70%。また月経以外の出血があったり、月経が8日以上と長く続く、または月経の量が多くなるなど、過多月経になるタイプが18%。また一方で、先月までは月経があったのに、ある日突然月経が来なくなったというタイプが12%です(図)。

また60歳を越えて月経がある人はいません。ですから60歳を越えて月経の様な出血のある人は、女性ホルモン剤を使用している場合を除き、不正出血と考えるべきです。子宮がん、特に子宮体がん(子宮の奥の部分のがん)の検査が必要となります。

閉経への移行形態

閉経への移行形態

Q4 若くても閉経することはありますか?

A. 40歳未満の女性の1%が早発卵巣不全(POF)です。

40歳未満で卵巣機能が低下し、無月経となる場合があり、これを早発卵巣不全(premature ovarian failure:POF)といいます。POFは二種類あり、一つが40歳未満で卵巣内の卵胞がほとんど消失し自然閉経を迎える「早発閉経(premature menopause)」。もう一つが、卵巣内にまだ卵胞が存在するにも関わらず、脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)に対する反応が低下し、無排卵・無月経となる「ゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群」です。

なお、卵巣内に卵胞が存在するか否かは、ホルモン検査である抗ミュラー管ホルモン(Anti-Mullerian Hormone:AMH)を測定することでわかります。このAMHは発育途中の卵胞から分泌される女性ホルモンの一種で、女性の卵巣予備機能の指標です。

POFは40歳未満の女性の1%に、無月経患者の5-10%にみられます。POFを発症する要因は遺伝性、自己免疫性疾患、医原性、環境などが考えられていますが、多くの場合、原因不明とされます。

遺伝性の場合の原因としては、染色体異常のターナー症候群が代表です。また自己免疫性疾患の場合は、アジソン病、重症筋無力症、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、関節リウマチなどが考えられます。医原性としては卵巣に対する手術や放射線照射、抗がん剤などの薬物療法による卵巣機能の低下があり、環境的因子としては喫煙による卵胞への毒性があります。

Q5 早発卵巣不全(POF)の診断と治療はどんなものですか?

A. 治療は、妊娠を希望するかどうかで異なります。

POFと診断されるのは、40歳未満で6ヵ月以上の無月経状態が続いている方のうち、血清中のゴナドトロピンの一種の卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone:FSH)が40mIU/mL以上でエストロゲンが低値の場合です。

治療方法は妊娠を希望する場合としない場合で異なります。妊娠を希望する場合には、ホルモン療法(エストロゲンと黄体ホルモンの併用療法)やGnRHアゴニスト療法でゴナドトロピンを正常化させ、卵巣のゴナドトロピンに対する反応性を高めて、排卵誘発を行います。自己免疫疾患が関与している可能性がある場合には副腎皮質ステロイドホルモンを使用して排卵誘発を試みます。

妊娠を希望しない場合には更年期障害、脂質異常症、高血圧、動脈硬化、糖代謝異常、骨粗鬆症の予防が必要なので、ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)を行います。