ふくこうじょうせんきのうていかしょう

副甲状腺機能低下症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

副甲状腺機能低下症とは、副甲状腺ホルモンの産生量が低くなってしまうことから引き起こされる病気を指します。副甲状腺ホルモンは、首に存在する甲状腺の近くに存在する副甲状腺と呼ばれる組織から産生され血液中に分泌されるホルモンです。副甲状腺は甲状腺の近くにある米粒大の組織で、合計4つ存在しています。

副甲状腺ホルモンは体内のカルシウムバランスを適切に保つ重要な役割を担っており、副甲状腺機能低下症にかかるとカルシウムバランスに異常をきたし、それに関連した症状が引き起こされます。副甲状腺機能低下症は国の難病指定を受けています。

原因

副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウムの濃度を正常に保つために重要な働きをしています。つまり、血液中のカルシウムが下がるような場合には、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨や小腸、腎臓に働きかけることでカルシム濃度を上昇させ元のレベルに戻すようにはたらきかけています。逆に血中のカルシウムの濃度が高い状態においては、ホルモンの分泌は抑えられます。副甲状腺機能低下症では、副甲状腺ホルモンの産生量が低下している状態であり、常時血中のカルシウムが低くなるよう方向付けられてしまっています。

副甲状腺機能低下症の原因は、いくつかのものが知られています。もっとも頻度が高いものは、頚部の手術後に発生する副甲状腺機能低下症です。副甲状腺は甲状腺の周囲に位置していますが、この部位は空間的にとても狭い領域です。かつ副甲状腺は米粒大のとても小さな臓器であるため、頚部に発生したがんやその他の手術の際に副甲状腺を傷つけてしまうことがあります。その結果、手術の合併症として副甲状腺機能低下症が発生することがあります。また、頚部への放射線治療などでも同様に、副甲状腺に放射線障害が生じ、副甲状腺機能低下症につながることがあります。

また、自己免疫性疾患のひとつとして副甲状腺機能低下症が発症することがあります。自分自身の免疫細胞が副甲状腺を異物と認識してしまい、副甲状腺に対しての抗体が産生されることから、副甲状腺が誤って攻撃されます。自己抗体による攻撃を受けた結果、副甲状腺はホルモンを産生・分泌する能力を失い、副甲状腺機能低下症を生じることがあります。そのほか、産まれつき副甲状腺が存在しない場合や、遺伝子異常、肉芽腫性疾患、ウィルソン病ヘモクロマトーシスに関連して副甲状腺機能低下症が発症することもあります。

症状

副甲状腺機能低下症による症状は、低カルシウム血症に関連したものであり、テタニーと呼ばれる特徴的な手足や口回りの筋肉の痙攣(けいれん)が代表的なものです。手足やおなか、口回りの筋肉に痛みやつったような感覚が生じることもあります。その他、手足のぴりぴりした感じ、焼けるような感覚異常が生じることもあります。さらに疲れやすさ、ひどい生理痛、部分的な脱毛、皮膚の乾燥、もろい爪、また歯の発育が障害される場合もあるほか、白内障も起こりやすくなります。

また、気分の落ち込みが強くなることもあり、うつ病と間違われることもあります。症状が強い場合には、けいれんを起こすことや、腎機能障害や不整脈を生じることもあります。幼小児期から低カルシウム血症が補正されない状態が持続すると、低身長や精神発達遅滞、てんかんの誘因となる脳へのカルシウム沈着などがみられることもあります。

検査・診断

副甲状腺機能低下症では、血液検査をおこないます。血液中のカルシウムが低い、リンが高いなどから副甲状腺機能低下症が疑われます。その後、血液中の副甲状腺ホルモン値の低下を確認することで診断されます。

副甲状腺機能低下症は、その他の病気に続発して発症することも知られています。たとえば肉芽腫性疾患やウィルソン病ヘモクロマトーシスなどを原因疾患として挙げることができますが、これらの疾患が存在していないかどうかを確認することも必要になります。

治療

副甲状腺機能低下症の治療方法は、内服薬を継続することでカルシウムとリンの値を正常に保つことが基本になります。ビタミンD製剤やカルシウム製剤を中心として治療がなされます。

副甲状腺機能低下症では、血液中のカルシウムが低下しやすく、リンが高くなりやすい病態です。そのため、食事摂取に関しても、カルシウムに富み、逆にリンが少なめの食事内容を心がけることが大切です。

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