原因
副甲状腺は甲状腺の後方に位置する4つの小さな臓器で、それぞれ数mm程度の大きさしかありません。この臓器から分泌されるPTHは、骨や腎臓に作用して血液中のカルシウム濃度を調節する役割を担っています。
副甲状腺機能低下症は、このPTHの分泌あるいは作用が低下することで発症し、その結果として低カルシウム血症や高リン血症が引き起こされます。
副甲状腺機能低下症の原因は多岐にわたります。最も多いのは、ほかの病気や治療などが原因となる二次性副甲状腺機能低下症です。これは頚部手術後や放射線照射の影響、悪性腫瘍の浸潤、肉芽腫性疾患、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病などにより、副甲状腺が破壊されることで発症します。
従来、原因不明とされてきた特発性副甲状腺機能低下症については、近年の研究の進展により、自己免疫異常、副甲状腺の形成不全を引き起こすさまざまな遺伝子異常、カルシウム感受性の異常、PTH遺伝子異常など、より詳細な分類が可能となりました。ただし、現在でも原因を特定できない症例は特発性副甲状腺機能低下症として診断されています。
また、PTH分泌量は正常であるにもかかわらず、骨や腎臓での作用が不十分なために低カルシウム血症などをきたす状態は、偽性副甲状腺機能低下症として区別されています。
「副甲状腺機能低下症」を登録すると、新着の情報をお知らせします