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ウィルソン病
先天性代謝疾患のひとつで、全⾝の組織に過剰な銅がたまる病気です。特に、肝臓や脳、眼、腎臓に銅がたまりやすく、たまった銅がこれらの臓器に障害を起こします。 ウィルソン病はおよそ3 〜4 万⼈...
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ウィルソン病うぃるそんびょう

更新日時: 2017年04月25日【更新履歴
更新履歴
2017年04月25日
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概要

先天性代謝疾患のひとつで、全⾝の組織に過剰な銅がたまる病気です。特に、肝臓や脳、眼、腎臓に銅がたまりやすく、たまった銅がこれらの臓器に障害を起こします。

ウィルソン病はおよそ3 〜4 万⼈に1⼈の割合で発症します。遺伝性の疾患ですが、⼤⼈になってから初めて発症するケースもあり、発症年齢は3歳から50 歳までと幅広くなっています。⽇本では欧⽶に比べて発症年齢がやや早いのも特徴で、要因として、銅を多く含む海産物(⾙など)の摂取などの⾷⽣活が関係している可能性が考えられています。

難病指定を受けている疾患ではありますが、内服薬を適切に継続することで、症状の発症を抑えることが期待できる疾患です。早期発⾒をすることに加えて、服薬をおこたらないようにすることがとても重要です。

原因

銅が体内に過剰にたまることが原因で発症します。体の銅の量は、主に肝臓で調節されています。銅の量を調節するに当たり「ATP7B」と呼ばれるタンパク質が、とても重要な役割を果たしています。

しかし、ウィルソン病ではATP7B 遺伝⼦に異常があり、正常な機能を有するATP7B がつくられなくなってしまいます。この結果、肝細胞内に過剰な銅がたまってしまいます。肝臓にたまった過剰な銅は⾎中に放出され、全⾝組織へと運ばれて、脳や眼、腎臓などにも障害を起こします。

ウィルソン病の遺伝⼦異常は常染⾊体上に存在し、「常染⾊体劣性遺伝」という遺伝形式で遺伝します。⼈の細胞は、同じ染⾊体について⽗親および⺟親から受け継いだ2 本の染⾊体を持っています。そのため、ATP7B 遺伝⼦は、両親に由来して2 つ存在することになります。

ウィルソン病が発症するには、2 本あるATP7B 遺伝⼦のうち両⽅の遺伝⼦に異常を抱えている必要があり、この発症様式を「常染⾊体劣性遺伝」と呼びます。ATP7B 遺伝⼦のうち1 本が異常である場合には、ウィルソン病の発症には⾄りませんが、病気の保因者となります。

ウィルソン病が発症するタイミングや症状の経過は千差万別であり、⾷事内容や⼀部の遺伝⼦(たとえばPRNP 遺伝⼦など)が関与しているのではないかといわれています。しかし、現在(2015 年)までのところ確実なことは明らかになってはおらず、更なる研究が必
要です。

症状

銅がたまりやすい肝臓、脳、眼、腎臓で主に症状が現れます。

肝臓にたまった場合

体内で銅の量を調節している主な臓器が肝臓であることから、銅が最もたまりやすいのは肝臓となります。銅の蓄積が進⾏していくと、慢性の肝障害や⻩疸、⾷欲不振などがみられます。肝硬変に進⾏すると、消化管出⾎や浮腫(ふしゅ:むくみ)、出⾎傾向等の症状が出ます。

しかし、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、肝機能が悪化していても、なかなか⾃覚症状が現れないことがあります。特に若い世代の⽅では、ウィルソン病に伴う症状がないからと、服薬をおこたり、症状が進⾏してしまう可能性があります。肝臓において症状が出にくいという特徴は、⻑期的な内服管理を考える上ではとても重要なことです。

脳にたまった場合

意欲低下、集中⼒の低下、うつなどの精神症状が出たり、⼿の震えやコントロールのできない⼤きな腕の動きが出現したりします。

眼にたまった場合

⿊⽬と⽩⽬の間の⾓膜部分に、緑褐⾊や⻩⾦⾊の輪が⾒える現象が起こります。この輪は「カイザーフラッシャー輪」と呼ばれ、ウィルソン病に特徴的な症状です。

腎臓にたまった場合

⾎尿がみられたり、結⽯ができたりすることがあります。

検査・診断

「セルロプラスミン」とよばれるタンパク質が⾎液中で低下したり、尿中に銅が大量に排泄されることが特徴です。これらは検査を⾏っても、患者さんの⼀部では確定できない場合もあります。その場合、肝臓の組織を直接採取して、肝臓中にたまっている銅を測定することがあります。

その他、眼科的な検査にてカイザーフラッシャー輪を確認することもありますし、脳のMRI検査等で銅がたまっている部位(たとえば基底核)を確認することもあります。さらに、遺伝⼦検査(⾎液検査)にてATP7B 遺伝⼦に異常がないかどうかを調べることもあります。

治療

たまっている銅をなるべく早く排出できるような治療を⾏います。D−ペニシラミンやトリエンチンという薬を内服します。これら銅のキレート剤は、体内にたまっている銅の尿中への排泄を助けるはたらきをします。その他、亜鉛製剤やビタミンE 製剤を併⽤して内服することがあります。

ウィルソン病は早期に治療を開始すれば、精神症状や重症の肝障害などに進⾏することもなく、症状を改善させることができるので、診断が確定したらすぐに治療を開始することが⼤切です。また、薬は基本的に⼀⽣飲み続けなければいけません。

ウィルソン病では、そもそも⾷事から銅をなるべく摂らないようにする、という⾷事療法も重要になります。⾙、甲殻類、チョコレート、レバー、きのこ、ナッツなどは銅が多く含まれるため注意が必要です。

遺伝する病気であることから、結婚や保険に関係した問題もあります。今後遺伝⼦診断等が進んでいくなかで、これらの問題についても考えていく必要があります。

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