とうごうしっちょうしょう

統合失調症

俗称/その他
精神分裂病
最終更新日:
2021年12月28日
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2021/12/28
更新しました
2017/04/25
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概要

統合失調症は、幻覚や妄想といった精神病症状や意欲が低下し、感情が出にくくなるなどの機能低下、認知機能の低下などを主症状とする精神疾患です。

日本の統合失調症の患者数はおよそ80万人程度といわれており、世界各国の報告によると100人に1人弱がかかるという比較的頻度の高い病気であると考えられています。多くは10歳代後半から30歳代頃に発症するといわれています。

統合失調症の原因は明らかになっていません。脳に情報を伝える機能の変化や遺伝、環境などが複雑に関係しているといわれています。あくまで仮設ですが、もともと統合失調症になりやすい要因を持った人に進学や就職、結婚など環境の変化や人間関係の大きなストレスや緊張が発症のきっかけになるのではないかと考えられています。

治療は、薬物療法やリハビリテーションなどの心理社会療法が行われます。

原因

統合失調症の原因は明らかになっていませんが、脳に情報を伝える神経伝達物質(ドパミンやグルタミン酸などなど)の機能障害や統合失調症になりやすい体質、環境などさまざまな要因が複合的に関わっているといわれています。統合失調症の発症には、複数の因子が関与し、もともと生まれる前から統合失調症になりやすい体質に加えて、環境要因やストレスなどをきっかけとして発症すると考えられています。

統合失調症は原因遺伝子がはっきりしている遺伝病ではありませんが、統合失調症になりやすい体質には遺伝が関与していると考えられています。

症状

統合失調症の症状には陽性症状、陰性症状、認知機能障害、気分症状があります。症状はさまざまで、実際に現れる症状や時期は一人ひとり異なります。

陽性症状

陽性症状とは、実際に起こっていないものを患者本人のみが体験する幻覚、妄想、思考の障害などの症状のことをいいます。

幻覚の症状としては、周囲に誰もいないのに患者を批判したり脅したりするような声が聞こえてたり、頭の中で複数の人が会話したりするような幻聴や存在しないものが見える幻視などがあります。

妄想とは、現実には起こりえないことを信じ込んでしまう状態のことです。妄想の症状としては、誰かに監視されている、誰かに悪口を言われている、いやがらせを受けているというような被害妄想や、テレビやインターネットに自分のことが流されているなどの関係妄想があります。

そのほかの症状として、思考の障害や自我の障害があります。思考の障害とは、考えや行動にまとまりがなくなることです。考えをまとめることができず、めちゃくちゃな会話をしてしまったり、状況に合わないちぐはぐな行動を起こしたりします。自我の障害では、自分と外の世界との境界線が曖昧(あいまい)になり、自分の考えがほかの人に支配されていると感じるようになります。

陰性症状

陰性症状には意欲や自発性の低下、あるいは感情表現が乏しくなるなどがあります。意欲の減退、喜怒哀楽などの生き生きとした感情表現が乏しくなります。

友人付き合いをしなくなり、家に引きこもるようになったりします。そのほかに、入浴や着替えをしなくなり、見た目を気にしなくなるといった症状が現れます。

認知機能障害

認知機能障害とは集中力や記憶力が低下し、物事をうまく処理できなくなることをいいます。たとえば、目の前の仕事や勉強に集中できなくなったり、他人の指示どおりに物事をこなせなくなったりします。統合失調症ではこのような障害が現れ、学業や仕事、人間関係など生活全般に影響が及びます。

検査・診断

統合失調症を正確に診断するような、単一の検査は存在しません。患者が訴える妄想や幻覚などの陽性症状や陰性症状を詳細に評価しつつ診断を行います。

また、統合失調症に似た症状が出るほかの病気を除外することも大切です。これには、気分障害やてんかん、甲状腺機能障害などが挙げられます。

これらほかの病気との鑑別を目的として、血液検査、頭部CTや頭部MRI、脳波検査、髄液検査などが必要におうじて行われることになります。

治療

統合失調症の治療では、薬物療法や心理社会療法などが行われます。これらの治療により症状緩和を図り、通常の社会生活を送ることを目標とします。

薬物療法

抗精神病薬を中心に治療を行い、抗不安薬、睡眠薬などを症状に合わせて使用します。以下では、主な治療薬である抗精神病薬についてお伝えします。

抗精神病薬

抗精神病薬とは統合失調症の治療薬で、幻覚、妄想などの陽性症状や不安・不眠・興奮、あるいは感情表現の低下などの陰性症状を改善する目的で処方されます。

抗精神病薬は患者によって、また症状の強さによって必要となる種類や量が異なるため、試行錯誤を行い、その患者に合ったものを選択することになります。抗精神病薬の種類は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬に大別されます。各薬剤ごとに特徴があり、効果と副作用を確認しながら調整します。

抗精神病薬によって症状が改善した後も、再発を予防するために薬物療法を継続します。自己判断で薬の服用をやめてしまうと、数年のうちに80%以上の確率で再発してしまうといわれています。そのため、症状が治まっても勝手に服用をやめたりせずに治療を続けることが大切です。

心理社会療法

病気の対処方法を身につけ、安定した社会生活を送れるようにすることを目標に専門家と話をしたり、リハビリテーションを行ったりする心理社会療法が行われます。

心理社会療法には、心理教育、社会生活技能訓練(SST)、作業療法などがあり、患者の自己理解や他者との関わり方、生活に必要な技能の習得などをめざします。

心理教育

病気や治療について正しい知識を身につけ、難しい状況を乗り切るための対処法などを学ぶ治療法です。

対象となるのは本人、もしくは家族です。病気や治療に対して前向きに考えられるようにすることをめざします。

作業療法

料理やスポーツ、音楽など軽い作業を通じて他者と交流し楽しみや達成感など感情を出しやすくする方法です。コミュニケーションを取る力を身につけることをめざします。

社会生活技能訓練(SST)

ほかの人との関わり方、病気や治療への向き合い方、ストレスに対する対処法などを学ぶ方法です。これによって自信がつき、自分らしい生活を送れるようになることをめざします。

統合失調症は慢性的に経過し、症状が再燃することもあります。そのため、状況に応じた治療を継続的に行っていくことが重要です。

抗精神病薬などの長期使用によって起こる副作用

提供:田辺三菱製薬株式会社/ヤンセンファーマ株式会社
監修:慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 准教授 竹内 啓善先生

自分の意思とは関係なく体が動いてしまう…それは「遅発性ジスキネジア」かもしれません

「口や舌が勝手に動く」「手や足が勝手に動く」など、自分の意思とは関係なく起こる体の動きは「遅発性ジスキネジア」かもしれません。抗精神病薬などを長期間服用することによって起こることが分かっています。「遅発性ジスキネジア」は、なるべく早く気づき、悪化する前に改善方法を考えることがとても大切です。

ご自身の判断で抗精神病薬を減らしたり中止したりすることはとても危険です。絶対に行わないでください。気になる症状がある場合には、医療機関で相談しましょう。

「遅発性ジスキネジア」チェックリスト

選択されていない項目があります
Q1. あなたは抗精神病薬を使用したことがありますか?
*抗精神病薬:主に統合失調症の治療に用いられるが、うつ病や双極性障害などほかの病気の治療のために処方されることもある。
1または2を選択した方は、下記「チェック結果を見る」へお進みください。
次の症状の中に当てはまるものはありますか?(複数回答可)

頭部・顔面の症状

手足の症状

首・体幹の症状

Q3. 次のうち、ご自身に当てはまるものはありますか?(複数回答可)

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