インタビュー

統合失調症と遺伝―遺伝の可能性のある病気

統合失調症と遺伝―遺伝の可能性のある病気
住吉 太幹 先生

国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部 部長

住吉 太幹 先生

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この記事の最終更新は2018年05月21日です。

統合失調症は、思春期以降から20代にかけて発症することの多い、妄想や幻覚が特徴的な精神疾患です。統合失調症は遺伝との関連性が認められると医学的にいわれています。統合失調症と遺伝の関係について、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部 部長の住吉太幹先生にうかがいました。

統合失調症は、その発症要因に遺伝が関係していると考えられている病気です。統合失調症と遺伝については昔からさまざまな研究が行われています。

2017年12月時点で、統合失調症の詳細な原因はいまだ明らかではありませんが、脳の神経発達異常であるとの仮説が有力です。この神経発達にかかわる遺伝子も複数みつかっており、これが統合失調症と遺伝との関連を示すもののひとつとなっています。

統合失調症の発症に関連する遺伝子は複数みつかっています。

統合失調症は、記憶や感情にかかわるシナプスの異常があることが指摘されています。統合失調症は、脳の記憶シナプスの数が極端に減ることがわかっています。このシナプスの数を維持する遺伝子に何らかの異常が起こると、統合失調症を発症するリスクがあると考えられます。

シナプス…脳の神経細胞同士をつなぎ、情報を伝える部分

統合失調症は、シナプスの異常をきたす遺伝子のほかに、脳の神経発達にかかわる複数の遺伝子の変化も発見されています。脳の神経発達にかかわる遺伝子に異常が起きることで、正常とは異なる神経発達が起きるものと考えられます。

一卵性双生児における発症一致率は28%といわれています[1]。この結果をみると、確かに統合失調症の発症に遺伝は関連すると考えることが可能です。しかしながら、DNA型が一致する一卵性双生児においても28%の発症ということは、遺伝以外にも複数の要因が重なることによって統合失調症を発症するものと考えられます。

発症一致率…一方がある病気である場合、もう一方も同じ病気を発症する確率

注1:トーリー・E・F.1995 南光慎一郎他監訳 1997 分裂病がわかる本 日本評論社

祖父母から孫などの隔世遺伝もするものと考えられます。実際に、統合失調症の患者さんの孫が統合失調症を発症する確率は3%といわれます。

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