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インタビュー

統合失調症は治るのか-統合失調症治療のこれから

統合失調症は治るのか-統合失調症治療のこれから
針間 博彦 先生

東京都立松沢病院 精神科 部長

針間 博彦 先生

東京都立松沢病院は、日本最古の精神科病院として長い歴史を持っています。この50年で統合失調症の患者さんの入院期間は大きく短縮されたといいます。統合失調症治療の現在、そして今後の展望について東京都立松沢病院精神科部長の針間博彦先生にお話をうかがいました。

統合失調症に対する抗精神病薬による薬物治療が始まったのは第二次大戦後ですが、実は薬物治療が始まる前から統合失調症の患者さんのおよそ3分の1は長期的な予後がよいことが分かっていました。統合失調症はもともと必ず予後(治療後の経過)が悪い病気ではなかったのです。加えて、薬物療法は精神病状態からの回復を促進して早めるので、症状によって生活が中断される期間が短くなり、また再発を予防するためにも有効です。

また、統合失調症のもともとの自然経過として、年齢を重ねると良くなるということがあります。これは晩期寛解(人生後半に回復すること)と呼ばれています。実際、長期に慢性病棟に入院していた患者さんを外来でみかけて驚くことは少なくありません。患者さんや家族にはこうした事実もぜひ知っていただき、現在回復が難しく思えても諦めずに治療を続けてほしいと考えています。

統合失調症の症状が慢性化する方は、全体の2割程度と決して多くありません。残りの約8割の方は治療をすればそれだけ早く回復します。これは他の様々な身体の病気と比べても決して予後が悪くないように思いますし、むしろ治療のしがいがあると言っていいのではないでしょうか。急性期病棟にいる私たち医師にとって、他の様々な対応困難な状態に比べれば、統合失調症は治すべき病気であり、治療すれば良くなる病気であると考えています。

患者さんが入院される時、ご家族から「どれくらいの期間入院するのですか」とよく尋ねられます。現在、松沢病院の急性期病棟群の平均在院日数は約60日、入院期間の目安としては1ヶ月から3ヶ月というところです。急性期以外の慢性病棟なども含めると平均入院期間は約80日です。昭和50年頃の平均在院期間は2年ぐらいでしたので、過去50年で入院期間は10分の1ほどに短縮されています。

入院期間の短縮は現在頭打ちになっているわけではないので、今後もさらに短くなっていくと考えられます。治療の開始が早いほど回復も早いとことは間違いありませんし、最初の記事で述べたように、統合失調症に対する認知度が向上すればそれだけ早く治療につながることが期待できるからです。理想的には、今後おそらく統合失調症の入院は、急性期の本当に症状が激しい人の短期入院だけになっていくのではないかと考えています。

一方で、早期に治療を開始することが望ましいとは言っても、とにかく診断をつけて精神科の患者にして投薬すればいいという話ではありません。受診すればただちに診断が下るわけではありませんし、診断を決めつけてすぐに薬物治療を開始することがあってはなりません。精神科の診断が拡散して不要な薬物治療や過剰診療が行われることの弊害を懸念する声もあります。

本人や家族の方に心配なことがあるときにまず受診していただき、診断を決めつけずに専門家と一緒に様子をみていくことが、重症化を防ぐためには大事なことです。医療は基本的に受け身の立場であり、患者さんが困って病院にやって来たときに初めて、それに対して私たちにできることを提案すべきだと考えます。あくまでも患者さんやご家族が心配事を相談に来るということが最初の段階であるべきだと思いますし、そうした動きが広がれば強制入院も少なくなっていくのではないでしょうか。

 

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