
統合失調症が疑われるケースの中には、精神症状をともなう他の病気や、何か別の要因が隠れている場合があります。これらをしっかりと見きわめるためにはどのような検査をしていくのでしょうか。精神科救急病棟と早期支援青年期外来を担当され、多数の患者さんと向き合っておられる東京都立松沢病院精神科部長の針間博彦先生にお話をうかがいました。
幻覚や妄想など統合失調症に類似した症状は身体疾患、脳器質疾患、アルコールや薬物の影響でも生じるので、これらを除外する「除外診断」が必要になります。これは統合失調症を診断する際には必ず行わなければなりません。そのため身体的な既往歴や身体的な所見を確認するほか、松沢病院では初診時に血液検査、入院時に頭部のCT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)を必ず行い、必要に応じて脳波検査など他の身体検査も行っています。精神症状だけから身体的な除外診断を行うことはできませんので、身体的な検査を必要に応じて行うことによって、除外できる身体疾患や脳疾患は除外していくという作業が必要です。
身体疾患や脳疾患以外に考えなければならないのは、薬物・アルコールの影響です。これについては、患者さんが初対面の医師に最初から正確な使用状況を話してくれることは少なく、特に違法薬物の使用は否認することが多いという問題があります。また、尿検査で検出される薬物は覚せい剤、大麻など種類が限られますし、最近蔓延したいわゆる危険ドラッグは、脱法ドラッグと呼ばれていたほどですから、通常の検査では検出されません。
したがって、尿検査で検出されず、本人に訊いても「使っていません」と否定している場合、それでもその人の生活状況から考えて「もしかしたら薬物を使っているかもしれない」という疑いが拭い切れないようなときには、その疑いは残しておく必要があります。たとえば、覚せい剤は使用後48時間以内しか尿中に検出されませんので、実際は覚せい剤の常用者であっても、本人が覚せい剤使用を否認し、尿検査でも検出されない場合、統合失調症と誤診される場合があります。
他にはアルコールの影響もあります。違法な薬物とは異なり、アルコールは多くの方が飲むわけですから、どれくらいの量を飲んでいればアルコールによる精神病と判断するかという問題があります。したがってアルコールの影響を除外することはそれほど容易ではありません。薬物やアルコールが原因である精神病は、その使用を中止することが治療上もっとも重要ですから、統合失調症と診断する前に、その可能性を十分に考慮する必要があります。
若い方でお酒はほとんど飲まず、ドラッグの使用が疑われる生活状況でもない場合、身体的要因が除外されれば統合失調症を疑うところにたどり着くことができます。その際にしばしば問題となるのが、発達障害(最近は自閉スペクトラム症とも呼ばれます)との鑑別です。発達障害と統合失調症は、対人的な閉じこもりや独特のこだわりなど、一見似通った症状を示すことがあるからです。この場合、発達障害は知能や性格と同じようにその人の持つ特性であって、医学的意味での疾患ではない、という原則に立ち返る必要があります。
その人の特性とは、もともとの素質が環境の中で発展していくものであり、そこにはその人らしさの一貫性が保たれています。一方、統合失調症ではその人のもともとの特性から断絶した症状が現れ、その人らしさの一貫性が中断されています。だからこそ統合失調症は病気であって治療の対象となるのであり、その目標はいったん失われたその人らしさを回復することであるともいえます。統合失調症では、そうしたその人らしさを中断する症状が、幻聴であったり被害妄想であったりするわけです。発達障害では幻聴や被害妄想があるようにみえても、それはその人独特の考え方から出てきた、その人であればあり得ると思えるものであって、統合失調症とは似て非なるものです。
(※参考記事 本田秀夫先生「自閉症スペクトラムとは―特徴と症状、どんな人が当てはまるのか?」)
頭部・顔面の症状
手足の症状
首・体幹の症状
東京都立松沢病院 精神科 部長
周辺で統合失調症の実績がある医師
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部 部長
内科、外科、精神科、脳神経外科、小児科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、脳神経内科、児童精神科
東京都小平市小川東町4丁目1-1
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国立精神・神経医療研究センター病院 精神リハビリテーション部長、医療連携福祉相談部長
内科、外科、精神科、脳神経外科、小児科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、脳神経内科、児童精神科
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国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 精神科科長 メンタルヘルスセンター長
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慶應義塾大学医学部 ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任教授
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慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 准教授
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、放射線診断科、放射線治療科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
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7月中旬くらいから体に力が入ってしまいます。 体に力が入るというのは左腕がピンとなったり、体全体が緊張状態のようになることです。 これはなぜなのでしょうか。 私は統合失調症という病気を持っており、毎日精神安定剤を飲んでいますがそのせいなのかなと思っています。 またストレス源と隣合わせで生活しているので、そのせいなのかなとも思います。 生きていて大変不便です。原因やその病気のことを教えて下さい。よろしくお願いします。
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