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ウィルソン病とは?体に銅が溜まる代謝性の疾患
遺伝子変異による疾患のひとつとして、ウィルソン病という病気があります。この病気は現在では遺伝性の疾患のなかでも数少ない、治療によって発症を予防することが可能な疾患となっています。今回はウィルソン...
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ウィルソン病とは?体に銅が溜まる代謝性の疾患

公開日 2015 年 11 月 17 日 | 更新日 2018 年 10 月 22 日

ウィルソン病とは?体に銅が溜まる代謝性の疾患
玉井 浩 先生

大阪医科大学小児科教授

玉井 浩 先生

遺伝子変異による疾患のひとつとして、ウィルソン病という病気があります。この病気は現在では遺伝性の疾患のなかでも数少ない、治療によって発症を予防することが可能な疾患となっています。今回はウィルソン病について、大阪医科大学小児科教授の玉井浩先生にお話をお伺いしました。

ウィルソン病はどんな病気?原因は?

ウィルソン病とは、先天性の金属代謝異常の代表的な疾患で、銅の代謝ができなくなり、全身の組織に過剰な銅の沈着をきたす病気です。銅は体内において様々な酵素の構成要素であり、生きていく上で欠かせない物質といえます。しかし一方で銅が過剰に蓄積すると、細胞障害を引き起こします。

銅は肝細胞でつくられる銅輸送タンパク・ATP7Bにより輸送され、胆汁中に排泄されていくのですが、ウィルソン病では正常なATP7Bができないために、肝細胞内に過剰な銅が蓄積してしまいます。さらに、血中に放出された銅は全身組織へと運ばれ、脳や角膜、腎臓などにも障害をきたします。

ウィルソン病の原因は銅輸送タンパクであるATP7BをコードしているATP7B遺伝子の変異が原因となっています。しかし、その遺伝子異常がどのような機構で病態を引き起こしているのかについては、まだよくわかっていません。

ウィルソン病の発症確率

ウィルソン病はおよそ3〜4万人に1人の割合で発症します。この疾患の遺伝子異常は常染色体上に存在し、常染色体劣性遺伝型式をとります。そのため、確率的には患者の兄弟の発症確率は25%、50%は保因者と考えられます。また、患者の両親は必ず保因者と予測できます。

3〜4万人に1人と聞くと、稀な疾患という印象を抱くかもしれませんが、500人~600人に1人は片方の遺伝子が異常遺伝子である、ヘテロの保因者という計算になるので、決して稀な病気という訳ではありません。遺伝性の疾患ですが、大人になってから初めて発症するケースもあり、発症年齢は3歳から50歳までと幅広く分かれています。日本では欧米に比べると発症年齢がやや早いのも特徴で、要因として、銅を多く含む海産物の摂取などの食生活が関与している可能性が考えられています。

ウィルソン病の症状

ウィルソン病では、銅が蓄積しやすい肝臓、脳、角膜、腎臓で主に症状が現れます。

最も蓄積しやすいのは肝臓なのですが、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、肝機能が悪化していても、なかなか自覚症状が現れないことがあります。ただ銅の蓄積が進行していくと、慢性の肝障害や黄疸、食欲不振などがみられます。

また脳に蓄積すると中枢神経が障害され、うつなどの精神症状が出たり、手の震えやコントロールのできない大きな腕の動きなども出現します。腎臓に蓄積すると、血尿がみられたり、結石ができたりすることがあります。関節に蓄積すると、骨や関節の障害がみられます。特に欧米に比べて、この症状はアジア人に多いといわれています。

内分泌症状として、副甲状腺機能低下、低血糖、月経不順、不妊、繰り返す流産などが生じる場合もあります。また黒目と白目の間の角膜部分には、緑褐色や黄金色の輪っかが見える現象も現れます。この輪はカイザーフラッシャー輪と呼ばれ、ウィルソン病に特徴的な症状で、約80%の患者にみられます。

このように、ウィルソン病では全身組織への銅蓄積により多彩な症状が発現します。3歳から15歳くらいの小児期では原因不明の肝障害が出やすく、15〜20歳頃には手の震えや言葉がうまく喋れないといった神経症状や、意欲の低下、集中力低下、気分が変わりやすい、性格が突然変わってしまうといった精神症状があらわれやすいともいわれています。

しかし、近年では早期治療が行われるようになったために、このような症状がみられることは徐々に少なくなってきています。

ウィルソン病の検査・診断 

小児期に原因不明の肝障害があった場合には、ウィルソン病を疑って血液検査を行います。ウィルソン病の患者さんは、ALT・ASTという肝機能を表す数値に上昇がみられます。さらにウィルソン病の約80%のケースで血清中の銅とセルロプラスミンという銅と結合するタンパク質が減少していることが確認できます。また尿検査も行い、尿中への銅の排出量が多くなっていることを確認します。それでも診断がはっきりしない場合は、ATP7Bの遺伝子検査を行って診断を確定することになります。遺伝子検査も採血によって行うことができます。

ウィルソン病の症状を上記に挙げましたが、実際は小児期に症状が全くない状態で、たまたま風邪をひいて採血をしてみたら肝機能異常があったなど、無症状のうちに見つかったというケースが増えてきています。また、急性肝不全、肝硬変、溶血発作などを起こして見つかるケースもあります。1回の採血では数値の変動があるので、はっきりと病気がわからないことも多いのですが、何回検査しても肝機能の数値(ALT・AST)が高い場合は医師にもその旨を伝えるようにしましょう。

 

大阪医科大学卒業後、小児科専門医・小児神経専門医を取得。現在は同大学小児科教授として後進の指導にあたっている。患者さんの病気ではなく、まずその人を知ること、そしてより社会に知ってもらうことを目指し幅広い活動を続けている。特にダウン症・ウィルソン病を専門領域とし、臨床・研究のみならず、ウィルソン病友の会の顧問医師や日本ダウン症療育研究会会長として、ウィルソン病患者やダウン症児、またその家族のサポートに力を入れている。

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