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ていかるしうむけっしょう

低カルシウム血症

最終更新日
2020年09月08日
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2020/09/08
更新しました
2020/07/29
更新しました

概要

低カルシウム血症とは、血液中に含まれるカルシウムが不足した状態(8.5mg/dL未満)となる病気のことです。カルシウムは筋肉や神経のはたらきをつかさどる重要な栄養素であるため、低カルシウム血症を発症すると筋肉のけいれん、筋肉痛、手足の感覚障害などの症状が引き起こされます。

低カルシウム血症の原因はさまざまありますが、代表的なものとしては腎臓でのカルシウムの再吸収を促す副甲状腺ホルモンの分泌の低下、腸管でのカルシウムの吸収を促すビタミンDの欠乏、カルシウムの排せつを抑制する腎臓の機能低下などが挙げられます。

原因

低カルシウム血症は非常に多くの原因によって引き起こされます。

代表的な原因として挙げられるのは副甲状腺の機能低下によるものです。副甲状腺ではカルシウムの再吸収を促す副甲状腺ホルモンが産生されますが、副甲状腺機能低下症によって副甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、腎臓でのカルシウムの再吸収が低下します。
また同時に活性型ビタミンDの産生が低下し、腸管でのカルシウムの吸収も低下するために低カルシウム血症が引き起こされます。

副甲状腺機能低下症の原因は、免疫の異常によって副甲状腺を攻撃する抗体が形成されることや遺伝子の異常、甲状腺全摘出手術の合併症などが挙げられます。
また、まれなケースですが、副甲状腺ホルモンの分泌自体は正常であっても、腎臓など副甲状腺ホルモンがはたらきかける臓器の受容体の機能が弱いことで副甲状腺ホルモンが適切に作用しない“偽性副甲状腺機能低下症”という病気もあります。

そのほかにも、カルシウムの吸収を促す栄養素であるビタミンDの不足によって低カルシウム血症を引き起こすことも少なくありません。
ビタミンDは食事から取り入れられるほか、紫外線の刺激を受けて皮膚でも合成される栄養素です。そのため、食生活の乱れや日光への暴露を過剰に避けることなどが原因でビタミンD不足が引き起こされます。
ビタミンDの体内での活性化を行う酵素や活性型ビタミンDの受容体が遺伝的に異常をおこし、活性型ビタミンDの作用が低下するビタミンD依存症という病気もあります。

また、カルシウムの尿中への排せつを抑え、ビタミンDを活性化させる作用を持つ腎臓の機能が低下することなどによっても低カルシウム血症が引き起こされることがあります。

症状

カルシウムは筋肉の収縮や神経のはたらきに関与する物質であり、骨や歯などを作る栄養素です。低カルシウム血症を発症すると、背中や足の筋肉のけいれんが起こりやすくなり、重度な場合には全身のけいれんを起こして意識を失ったり、呼吸困難に陥ったりするケースも少なくありません。特に、手足の感覚異常、全身の筋肉痛、手足の筋肉の攣縮(れんしゅく)、顔のけいれんを特徴とする“テタニー”と呼ばれる症状は重度な低カルシウム血症の代表的な症状の1つです。

また、長期間にわたってカルシウムが不足した状態が続くと、認知機能の低下、抑うつ気分など精神的な異常を引き起こし、皮膚の重度な乾燥、白内障不整脈、毛髪がもろくなるなど全身にさまざまな影響が及ぶようになります。

骨や歯に対する影響は、低カルシウム血症を起こす原因によって異なります。ビタミンDが欠乏することによる低カルシウム血症では、血液中のカルシウム濃度を正常にしようとして副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されますが、副甲状腺ホルモンは腎臓でのカルシウムの再吸収を行うだけでなく、骨のハイドロキシアパタイトを分解するため骨密度の低下をもたらします。

また重篤なビタミンD欠乏症では同時に低リン血症も合併するため、くる病骨軟化症なども引き起こします。特に遺伝子の異常により活性型ビタミンDの作用が生まれ持って低下するビタミンD依存症では小児期からくる病を起こすなどより重篤な病態となります。

一方で副甲状腺機能低下症や偽性副甲状腺機能低下症で低カルシウム血症が起きているときには、骨のハイドロキシアパタイトの分解する副甲状腺ホルモンの作用が低下するため骨密度は増加します。

検査・診断

低カルシウム血症が疑われるときには、必要に応じて次のような検査が行われます。

血液検査

血液中のカルシウム濃度を調べるために必須となる検査です。検査ではカルシウムに加えて血中カルシウム濃度の補正に使用するアルブミンを測定します。実際に低カルシウム血症を認めた場合には、その原因となる疾患を調べるために、インタクトPTH(副甲状腺ホルモン)、25水酸化ビタミンD、マグネシウムなどの濃度や腎機能の状態を調べるのが一般的です。

遺伝子検査

遺伝子の異常により生じるビタミンD依存症や遺伝性副甲状腺機能低下症では、遺伝子検査によってより正確な診断を行うことができます。ビタミンD依存症の原因となる一部の遺伝子では遺伝子検査が保険適用となっています。

尿検査

腎機能低下による低カルシウム血症が疑われる場合には、尿中のカルシウム濃度などを調べるための尿検査が行われます。

治療

低カルシウム血症の治療は重症度や原因によって大きく異なります。

まず、けいれんなど重度の症状が生じている場合は緊急的な処置としてカルシウム製剤の注射を行い、その後に原因に応じた治療をおこないます。一方、重度の症状はないものの慢性的にカルシウムが不足しているケースでは、ビタミンD欠乏症が原因であれば、カルシウムの吸収をアップさせるために薬局で売っている天然型のビタミンDや、病院で処方される活性型ビタミンDの内服治療が行われるのが一般的です。

遺伝子の異常により生じるビタミンD依存症では活性型ビタミンDを治療に使用します。副甲状腺機能低下症や偽性副甲状腺機能低下症でも活性型のビタミンDの内服治療が行われます。ただし治療の目標とする血液中のカルシウム濃度を正常よりも低めに設定しなければ脱水になり、腎機能障害を合併しやすくなるなど注意すべき点があるため、内分泌内科など専門の診療科で治療を受けるようにしましょう。

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