ていかるしうむけっしょう

低カルシウム血症

目次

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概要

低カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が異常に低下している状態です。原因としては、慢性腎不全、ビタミンD欠乏症、低マグネシウム血症、副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかしょう)などが挙げられます。

低カルシウム血症の症状は、手足の感覚異常や軽いけいれんから、精神状態の変化や全身けいれんまでさまざまです。診断には血液中のカルシウム濃度とアルブミン濃度の測定が必要で、カルシウムやビタミンDの補充により治療が行われます。

原因

低カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が異常に低下している状態であり、その発症にはカルシウムバランスを正常に保つ体内機構が関連しています。特に、副甲状腺ホルモンとビタミンDの両者が正常にはたらくことが、カルシウム濃度を正常に保つために重要です。

甲状腺の近くにある副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウムの濃度が低下すると分泌され、骨や小腸、腎臓にはたらきかけてカルシウム濃度を上昇させます。反対に濃度が高い場合には、ホルモンの分泌は抑えられます。

しかし、副甲状腺機能低下症では、この副甲状腺ホルモンの分泌が抑制されるため、常時カルシウムが低い状態となります。

また、ビタミンDも、体内のカルシウム濃度を正常に保つために重要なはたらきをしています。ビタミンDの供給源は食物として経口摂取される経路以外に、日光に当たることで皮膚(ひふ)から産生される経路があります。経口摂取もしくは日光のはたらきで体内に取り入れられたビタミンDは、さらに順次肝臓、腎臓で処理を受けた後に、最終的に体内で活性を持つタイプのビタミンDへと変換されます。そのため、ビタミンDの腸での吸収過程や日光照射量の低下、肝臓・腎臓での活性障害が生じた場合に低カルシウム血症が発症します。

カルシウムを体内で保持するために重要な腎臓の尿細管に障害が生じた場合にも、カルシウムが過剰に尿中に排泄されて低カルシウム血症が引き起こされます。

そのほか、低マグネシウム血症、急性すい炎、低タンパク血症、Hungry bone症候群、敗血症、薬剤、輸血などが原因となることがあります。

症状

低カルシウム血症では無症状であることもしばしばですが、神経や筋肉に症状を認めることがあります。下肢の筋肉がつる、手足のしびれ、顔面のけいれんなどの感覚異常が代表的です。

顔面の一部を軽く叩くと顔面の筋肉が攣縮(れんしゅく)(Chovostek徴候)したり、血圧測定時などに腕に圧をかけ続けると、指が特徴的な体勢をとるようになったり(Trousseau徴候)することもあります。

中にはうつなどの精神症状や、不整脈、全身けいれん、低血圧などの重篤な症状を引き起こすこともあります。

検査・診断

低カルシウム血症では、血液中のカルシウム濃度と、アルブミンと呼ばれるタンパク質濃度を測定することが重要です。カルシウムが体内で正常にはたらくためには、イオン化カルシウムが充分量存在することが重要です。また、カルシウム濃度を正確に判定するためには、アルブミンの濃度を同時に測定することが必要です。

低カルシウム血症が確定された後は、原因を特定するための検査が行われます。原因としては、腎不全、低マグネシウム血症、ビタミンD欠乏症、副甲状腺機能低下症などが挙げられるため、クレアチニンやBUN、マグネシウム、リン、副甲状腺ホルモン、ビタミンDなどが測定されます。

治療

低カルシウム血症の症状を急速に改善させる必要がある場合には、グルコン酸カルシウムの投与が検討されます。低マグネシウム血症を併発している場合には、マグネシウムの補正も行われます。

慢性的な低カルシウム血症では、カルシウム製剤やビタミンD製剤による補正が行われます。腎不全がある場合には、ビタミンDの活性化機構に問題があるため、ビタミンD製剤の中でもすでに活性化した状態であるカルシトリオールの内服や、透析を行っている方は注射製剤が用いられます。薬剤性が疑われる場合は薬剤の調整を行います。