びたみんびたみんでぃーけつぼうしょう

ビタミンD欠乏症

目次

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概要

ビタミンD欠乏症とは、体内におけるビタミンDが欠乏している病態です。ビタミンDは健康な骨の石灰化に重要なはたらきをしています。

原因

ビタミンDは食物として経口摂取されるだけでなく、日光に当たることで皮膚でもつくられます。そして、体内に供給されたビタミンDは、順次肝臓、末梢組織で処理を受けた後に、最終的に活性を持つ「1,25水酸化ビタミンD」と呼ばれるタイプへと変換されます。

活性化されたビタミンDは、主に腸管からのカルシウム、リンの吸収を促すことで血液中のカルシウム、リン濃度を調整しており、健康な骨の石灰化に役立っています。

経口摂取不良(母乳栄養児におけるビタミンD不足)と日光への暴露不足(日焼け止めの過剰摂取も含めて)が併存すると体内におけるビタミンDが不足することになり、欠乏の程度や罹病期間によって低カルシウム血症や低リン血症が惹起されます。

また、これら低カルシウム血症と低リン血症の程度や期間に応じて、二次性の骨粗鬆症やくる病・骨軟化症といった病態が生じます。病気で寝たきりの方や神経性やせ症の患者さんに認めることもあります。

また、ビタミンDの吸収から活性化の過程において異常がある場合も、ビタミンD欠乏症が引き起こされます。具体的には、腸での吸収障害(セリアック病やクローン病など)、肥満、一部の薬剤(ステロイドなど)を挙げることができます。肥満では、ビタミンDが脂肪に過度に蓄積されてしまうことから、血液中に流れる量が減ってしまいます。その他にも、腎臓(慢性腎不全など)の病気があると、ビタミンDが不足する原因になります。

症状

ビタミンD欠乏症が連続的に長期に経過すると低カルシウム血症を代償するために副甲状腺ホルモン(PTH)が上昇し骨を溶かして血中カルシウム濃度を正常に保とうとします。これによって二次性の骨粗鬆症をおこします。さらに高度のビタミンD欠乏症が長期に続くと低リン血症をおこすため、骨の石灰化に必要なハイドロキシアパタイトが形成できなくなり、骨の石灰化不全を生じます。

この低リン血症による骨の石灰化不全が、骨端線が閉鎖する前に起こるとくる病を発症します。くる病では骨の成長に必要な骨端軟骨の石灰化が生じにくいために低身長になります。また、つかまり立ちや独立歩行をするようになって下肢に負担がかかると、足の骨が変形しO脚やX脚になります。また、虫歯を多く発症します。

成人では骨の石灰化不全から、柔らかい類骨という成分を多く含む骨ができ、この病態を骨軟化症といいます。骨軟化症では骨にひびが入るような偽骨折を発症して激しい骨痛や筋力低下が生じます。また上記の二次性骨粗鬆症と相まって骨折が生じることもあります。虫歯も多くなり、また骨軟化症が長期にわたると改善を見込めない関節症や靭帯の石灰化(後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症など)を発症します。

検査・診断

ビタミンD欠乏症の診断は、2018年2月の段階での保険診療では上記の明らかなくる病や骨軟化症がある場合に限り、血液検査でおこなうことができます。血液中の25水酸化ビタミンD(25OHD)が20 ng/ml未満であるときにビタミンD欠乏症と診断します。

ビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症と診断するには必ずFGF23濃度の測定を行ったり、尿検査でFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症やファンコーニ症候群などの疾患を除外したりしなくてはなりません。その他、くる病や骨軟化症の存在を確認するために全身の骨のレントゲン撮影やMRI、骨密度、骨シンチグラフィーなどが行われることがあります。

ビタミンD不足になっている原因を検索する検査が並行して行われることもあります。たとえば腎機能や肝機能を評価するための一般的な血液検査は重要です。また典型的なくる病・骨軟化症や骨形成の際に上昇する酵素であるアルカリホスファターゼ(ALP)や骨型アルカリホスファターゼの測定、低カルシウム血症のときにそれを補うために上昇する副甲状腺ホルモン(PTH)と呼ばれるホルモンの分泌状況を確認することも重要です。

治療

ビタミンD欠乏症の治療は、サプリメントや処方薬でのビタミンD(自然型ビタミンDもしくは活性型ビタミンD)の補充と原因となっている病気に対してのアプローチが重要です。ビタミンDの必要量は、年齢やビタミンD欠乏症の原因となっている疾患に応じて異なるため、適宜検討されます。

ビタミンDは脂溶性ビタミンに分類され、過剰摂取をすると体内に過度に蓄積してしまう可能性があるため、適正な容量を遵守することは大切です。

ビタミンD欠乏症を引き起こしている原因に対するアプローチも大切です。たとえば、過度に日光を避けている状況があれば適度に日光浴をするなど外に出ることが必要で、腎臓の疾患がベースにある場合は、それに特化した治療を行います。