症状
ビタミンD欠乏症では、血液中のカルシウム濃度の低下を補うために分泌される副甲状腺ホルモンのはたらきにより骨密度の低下が起こります。
健常な成人であれば、通常はビタミンDが極端に欠乏していても症状は出にくいといわれています。しかし、ビタミンDが欠乏している状態に加齢や消化器疾患、グルココルチコイド製剤の使用、遺伝的な影響などの要因が加わると、ビタミンD欠乏症の代表的な症状でもある骨密度の低下などを伴うことがあります。特に遺伝的な影響が強い場合には、血中カルシウム濃度の低下の程度が強くなり、非常にまれなケースだと手足や口のしびれ、動かしにくさが生じることがあります。
また、場合によっては同時に血中リン濃度が低下し、小児では低身長や足の変形(強いO脚やX脚)を起こす“くる病”や、成人では骨にひびが入りやすくなる“骨軟化症”を起こすこともあります。なお、若年であるほど血中リン濃度の基準範囲は高いことが知られており、おそらくは骨の成長に比較的高い血中リン濃度が必要であるためだと考えられています。このため、小児のくる病では成長障害や下肢の変形はきたしますが、血中リン濃度が極端に低下し成人の基準範囲以下となることは少ないため、骨にひびが入りやすくなる骨軟化症に至る子どもは非常に少ない傾向にあります。
また、くる病および骨軟化症を起こすと小児、成人ともに歯髄(歯の奥にある空洞)に感染を生じる歯髄炎を起こしやすくなります。
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