症状
カルシウムは筋肉の収縮や神経のはたらきに関与する物質であり、骨や歯などを作る栄養素です。低カルシウム血症を発症すると、背中や足の筋肉のけいれんが起こりやすくなり、重度な場合には全身のけいれんを起こして意識を失ったり、呼吸困難に陥ったりするケースも少なくありません。特に、手足の感覚異常、全身の筋肉痛、手足の筋肉の攣縮、顔のけいれんを特徴とする“テタニー”と呼ばれる症状は重度な低カルシウム血症の代表的な症状の1つです。
また、長期間にわたってカルシウムが不足した状態が続くと、認知機能の低下、抑うつ気分など精神的な異常を引き起こし、皮膚の重度な乾燥、白内障、不整脈、毛髪がもろくなるなど全身にさまざまな影響が及ぶようになります。
骨や歯に対する影響は、低カルシウム血症を起こす原因によって異なります。ビタミンDが欠乏することによる低カルシウム血症では、血液中のカルシウム濃度を正常にしようとして副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されますが、副甲状腺ホルモンは腎臓でのカルシウムの再吸収を行うだけでなく、骨のハイドロキシアパタイトを分解するため骨密度の低下をもたらします。
また重篤なビタミンD欠乏症では同時に低リン血症も合併するため、くる病、骨軟化症なども引き起こします。特に遺伝子の異常により活性型ビタミンDの作用が生まれ持って低下するビタミンD依存症では小児期からくる病を起こすなどより重篤な病態となります。
一方で副甲状腺機能低下症や偽性副甲状腺機能低下症で低カルシウム血症が起きているときには、骨のハイドロキシアパタイトの分解する副甲状腺ホルモンの作用が低下するため骨密度は増加します。
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