概要

依存症とは、日常生活に支障をきたしているにもかかわらずアルコール、薬物、たばこなどの特定の物質やギャンブル、買い物など特定の行動をやめることができなくなってしまう状態のことを指します。依存症が長く続くと周囲との人間関係が破綻したり、仕事ができなくなったりすることで経済的な困窮に陥るケースも多く、通常の社会生活を送ることができなくなります。また、アルコールの多飲や食生活の乱れなどから健康を害するケースも多く、身体的・精神的なダメージを引き起こしやすいのも特徴です。

依存症は特定の物質の摂取や行動を続けることで脳に変化が生じることが原因で発症すると考えられており、さまざまな支障をきたしているものの本人は依存症に陥っていることに気付かないケースもあります。また、依存症は薬物療法、精神療法など多角的な治療が必要となり、克服できたとしても再発するケースは少なくありません。治療には患者本人の努力だけではなく、家族など周囲の人の支えも必要です。

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種類

依存症は大きく分けて、“特定の物質”に精神的な依存が生じるタイプと“特定の行動”にのめり込んでしまうタイプに分けられます。

特定の物質に対する依存は、アルコール依存症、薬物依存症、ニコチン依存症などが挙げられます。一方、特定の行動に対する依存は、ギャンブル依存症、買い物依存症などが挙げられます。

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原因

依存症は“心の弱さ”と思われがちですが、特定の物質の摂取や行動を繰り返すうちに快楽や喜びを感じる脳の回路が変化することによって引き起こされる病気です。

私たちの脳は、特定の物質の摂取や行動を取ると、中脳被蓋野から前頭葉へと伸びている“脳内報酬系”と呼ばれる神経細胞からドパミンと呼ばれる物質が分泌されるようになります。ドパミンは神経を興奮させて快楽や喜び、高揚感を引き起こす物質ですが、特定の物質の摂取や行動を繰り返すと脳内でそれらを求める神経回路が形成されます。その結果、あたかも脳が“ハイジャック”されたような状態に陥って、自身では制御できないような“脳の要求”が生じ、依存症につながっていくと考えられています。

また、依存症はドパミンが放出されたとしても引き起こされる快楽や喜びが次第に少なくなっていき、さらなる刺激を求めて特定の物質の摂取や行動がエスカレートするという悪循環に陥るのも特徴です。

より詳しい情報は、記事①記事②をご覧ください

症状

依存症は、上述したように脳の回路に変化が生じて特定の物質や行動にのめり込み、自分を制御することができなくなる病気です。その結果、飲酒やギャンブルなどが生活の中の最優先事項となり、仕事や学業、家庭生活などがないがしろになって通常の社会生活ができなくなっていきます。具体的には、引きこもりのような生活になる、家族など周囲の人との人間関係が破綻する、仕事が続かなくなったり借金を重ねたりすることで経済的に困窮するといった生活への支障が現れるようになります。

また、飲酒やギャンブルなどを最優先することで睡眠や食事などの生活習慣が著しく乱れて健康を害するケースも珍しくなく、睡眠障害や抑うつ気分など精神的な支障を引き起こすこともあります。

そして依存症は患者本人だけではなく、家族や知人など周囲の人を巻き込んで嘘に翻弄されたり、借金の尻ぬぐいをさせられたりすることなどによって疲弊してしまいがちなことも特徴の1つです。

より詳しい情報は、記事①記事②記事③をご覧ください

検査・治療

依存症は日頃の生活や依存している物質・行動への執着の程度などを詳しく聞き取ったり、各依存症で作成されているスクリーニングテストを実施したりすることで診断が下されます。基本的に特別な検査は必要ありませんが、発達障害などが背景にあるケースもあるため、心理検査や頭部CTなどの画像検査を行うこともあります。

また、アルコール依存症などのように健康を害している可能性がある場合には、血液検査、画像検査などが行われます。

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治療

依存症は患者本人に合った治療を続けていくことが大切です。

基本的には、自己の認識の歪みを修正するための認知行動療法などを中心とした精神療法が主体となります。一方で、抑うつ気分などを併発している場合は抗うつ薬、アルコール依存症では抗酒薬などを用いた薬物療法も組み合わせた治療が行われます。

また、依存症は自助グループへの参加、行政相談の活用なども治療の一環となります。さらに依存症の克服には周囲の家族などの支えも必要になるため、家族か、同じ悩みを分かち合い情報共有を行う依存症者家族のための自助グループに参加することも大切です。

予防

依存症は脳の回路の変化によって引き起こされる病気であるため、条件さえそろえば誰もが発症する可能性があります。一方で、依存症は本人が自覚できないケースも多いとされており、家族や知人が依存症を疑わせる行動を取る場合は速やかに専門の医療機関や保健所、精神保健福祉センターなどの行政機関に相談することが大切です。

また、依存症は生活上の孤独感やプレッシャーなどに起因することも多いため、生活上の悩みがある場合は自分ひとりで抱え込まずに周囲に相談したり、助けを求めたりするようにしましょう。

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