そうはつへいけい

早発閉経

子宮

目次

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概要

早発閉経とは、40歳未満で閉経に至ることをいいます。日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後であるため、早発閉経の人は約10年早く月経が終了することとなります。

女性の性周期は卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンによってコントロールされています。性周期の前半は「卵胞期」と呼ばれ、エストロゲンが多く分泌されることによって卵巣内で卵子が成熟する時期です。成熟した卵子は性周期14日目頃に受精に向けて排卵されます。

排卵が生じてから次の月経までの期間は「黄体期」と呼ばれ、プロゲステロンが多く分泌されます。プロゲステロンは子宮内膜を厚く成熟させる作用があり、受精卵の着床に備えます。着床が起こらない場合にはプロゲステロンの分泌量が低下して成熟した子宮内膜が剥がれ落ちます。このようにして子宮内膜が剥がれ落ちることを「月経」とよび、次の性周期に突入します。

月経は、卵巣から分泌されるホルモンによってコントロールされているため、早発閉経は「早発卵巣不全」と呼ばれることもあります。閉経は2種類の女性ホルモンのうちエストロゲンの分泌量が低下して排卵が生じなくなることが原因で生じます。

早発閉経はその時期が通常より10年程度早くなった状態であり、その原因には、遺伝子の異常や自己免疫性疾患、感染症などさまざまなものが挙げられます。

また、エストロゲンの分泌が早期に低下するため、将来的に骨粗しょう症や動脈硬化のリスクが高くなります。

原因

早発閉経は、卵巣から分泌されるエストロゲンの量が早期に低下することが原因です。閉経は誰にでもやってくるものであり、そのメカニズムは卵巣の衰えと考えられています。

平均的な閉経年齢は50歳前後ですが、45歳を過ぎた頃から卵巣の機能は徐々に低下し、やがてエストロゲンの分泌が低下して排卵が起こらなくなり、結果として月経が停止するのです。

早発閉経の場合では、40歳未満でエストロゲンの分泌が低下して閉経が引き起こされます。その原因にはさまざまなものが挙げられますが、原因がわからない場合も少なくありません。主な原因として挙げられるものは下記の通りです。

自己抗体(自己免疫性疾患)

抗DNA抗体や抗SSA抗体などの自己抗体が関与しているとの説があります。特に30歳以下で早発閉経を発症した場合には何らかの自己抗体を持つというデータもあります。

染色体異常

ターナー症候群など性染色体に異常があるケースでは早発閉経を生じるケースが多いとされています。

医原性

放射線治療や抗がん剤治療などを行うと卵巣にダメージが加わって、その機能が著しく低下することがあります。また、卵巣嚢腫などの手術で卵巣を摘出した場合にも早発閉経を来すことがあります。

その他

その他の原因として、糖尿病などの代謝疾患、タバコや薬物の乱用、おたふくかぜの合併症である卵巣炎の発症などが挙げられます。

症状

早発閉経は「40歳未満で自然閉経に至る」ことと定義されており、40歳未満で無月経の状態が1年以上続くものを指します。排卵が起きていないため不妊となり、妊娠を希望する場合、不妊治療は非常に難しくなります。

早発閉経では月経が停止するだけでなく、エストロゲン分泌の早期低下によって全身にさまざまな影響が生じます。

エストロゲンは性周期を司るだけでなく、骨の代謝に関与して骨が溶け出すのを抑える作用や、コレステロールを調整して動脈硬化を抑制する作用を持ちます。

このため、早発閉経によってエストロゲンの分泌が通常より10年近く前から低下した状態が続くと、将来的に骨粗しょう症や動脈硬化症を発症するリスクが高くなります。また、皮膚や粘膜の菲薄化が生じることで萎縮性腟炎を引き起こしやすくなり、腟の痛みやかゆみを生じることがあります。

一方、自己免疫性疾患やターナー症候群などが原因となっている場合には、原因疾患に特有の症状がみられ、早発閉経はあくまでそれらの症状のひとつとして現れます。

検査・診断

40歳未満で無月経が続いている場合や更年期障害様の症状がみられる場合には、早発閉経の可能性が考えられます。病院を受診すると、まずは基礎体温の測定指導が行われます。また、血液検査によってエストロゲンや性腺刺激ホルモンなどのホルモン値が確認されたり、超音波検査などによって卵巣と子宮の状態がチェックされたりします。

35歳未満の閉経で、その他の身体的特徴から染色体や遺伝子の異常が疑われる場合には、染色体検査や遺伝子検査が行われることもあります。

治療

早発閉経の治療は、妊娠を希望するかしないかによって異なります。それぞれ下記のような治療が行われます。

妊娠を希望する場合

排卵がないために、自然に妊娠することはありません。また、体外受精などの治療によっても妊娠率はあまり期待できないといわれています。ホルモン補充療法を行い卵胞の発育を刺激するなどの治療が一般的に行われます。

妊娠を希望しない場合

妊娠を希望しない場合でも、将来的な骨粗鬆症や動脈硬化症などのリスクに備えてホルモン補充療法が行われます。一般的にはエストロゲンとプロゲステロンの合剤である低用量経口避妊薬が使用されますが、子宮を摘出している場合はエストロゲン単独での治療が行われます。

染色体異常によって男性型のY染色体をもつことがわかった場合には、卵巣がんを発症する可能性が高くなるため、卵巣の摘出が行われます。