インタビュー

子宮筋腫核出の危険性は? ピルの効果は? 子宮筋腫の治療法についての8つの疑問

子宮筋腫核出の危険性は? ピルの効果は? 子宮筋腫の治療法についての8つの疑問
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

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この記事の最終更新は2015年06月03日です。

子宮筋腫は婦人科良性腫瘍の中では最もよくみられるもので、3人にひとりは持っているとも言われています。ただし良性の腫瘍とは言っても、大きくなってしまうとひどい月経痛を引き起こしたり、妊娠・分娩時の妨げになったりします。また、個人のライフスタイルや症状に合わせて治療法の選択が難しいのも子宮筋腫の特徴です。

今回は子宮筋腫の治療について、実際のところはどうなのか、婦人科の腹腔鏡手術の第一人者・気になる疑問を堤先生に聞いてみました。

低用量ピルを服用して筋腫が大きくなる方もいますが、それほど多くはなく、また大きくなっても神経質になるほどではないでしょう。

ピルには筋腫の縮小効果をもつプロゲステロンと増大効果があるエストロゲン、どちらも入っているため、人によって効果は異なってくるのです。

ピルを多く処方する医師も、そうでない医師もいるので、少しばらつきがあります。私の場合は、ピルでは子宮筋腫の根本治療にはならないため、あまり出さないようにしています。私が子宮筋腫の患者さんにピルを処方するのは約5-10%程度です。

一方、子宮内膜症などの場合は根本治療に繋がる可能性が高いため、もう少し多く処方しています。

保険適応のピルをお勧めしています。今はノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合製剤とドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠の2種類が主な選択肢で、患者さんと相談してどちらの薬を選ぶかを決めています。服薬回数が異なり、ノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合製剤は21日間服用7日間休薬、ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠は24日間服用4日間休薬です。ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠の効果は高いのですが、副作用で血栓の報告があったため、不安な患者さんはノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合製剤に戻したりすることもあります。

おおよそ3分の1から半分の患者さんは手術をしている印象です。ただし私の元には腹腔鏡手術を望む患者さんが多くいらっしゃるため、手術の割合が多くなっています。

昔から、産婦人科の先生はこのように説明するように指導されてきました。私は患者さんにこのような説明はしていませんが、慎重な先生の中には説明している先生もいるようですね。

不安になって「子宮全体を摘出する可能性もありますか」と尋ねる患者さんもいらっしゃいますが、「私は30数年間1度も子宮筋腫核出の手術で子宮摘出に至ったことはありませんよ」と説明しています。
インフォームドコンセントとは、「100回に1回起こりうることは説明する」という目安がありますが、このような事例は万に1回のことなので、私は患者さんが不安にならないよう、聞かれなければ説明を控えるようにしています。

子宮筋腫核出術と子宮摘出術
子宮筋腫核出術と子宮摘出術

安全性に差はありません。手術時間は多少、腹腔鏡の方が長くかかる場合がありますが、術後の合併症や手術時の大出血などはほとんど差がありません。
ただし痛みや入院期間や術後の癒着などには差があり、腹腔鏡の方が痛みが少なく、入院期間も半分以下で、術後の癒着も少ないとされています。

子宮全体を摘出をすると、当然月経はなくなります。しかし、卵巣は原則として温存しているため、本来の閉経まで卵巣は働き続けます。

動脈塞栓術は、近年症例数も増え、保険適応になりました。FUSはまだ治療成績などの件数が少なく、試験的な治療法のため、保険が適応されていない状況です。

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