不妊を疑い医療機関を受診した場合、最初に不妊の検査を行います。女性の主な検査としては、内診、ホルモンなどの血液検査、超音波検査、子宮卵管造影検査などがあります。男性の検査としては、精液検査が重要な検査となります。
今回は、不妊検査の種類や方法、検査時の痛みについて、田園都市レディースクリニック理事長の河村寿宏先生にお話を伺いました。
日本産科婦人科学会は不妊(症)を、
「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」
と定義しています。
そのため、一般的には子作りをスタートしてから1年経っても妊娠が成立しない場合は、不妊の検査を受けることをおすすめします。また、高齢のカップルが子どもを望む場合は、1年を待たず最初から検査を受けてもよいでしょう。
不妊の定義について詳しくはこちら
不妊の原因は男性にも女性にもあります。そのため、しっかりと検査しておくことが重要です。
女性の代表的な検査方法には、婦人科の基本的な診察法である内診に加えて、
などがあり、必要に応じて、
を実施する場合もあります。
下記で詳しく説明します。
また、男性の代表的な検査方法には、
があります。最初に精液検査を行い、この検査結果が不良の場合には、
を受けていただきます。
男性の検査について詳しくはこちら
不妊症血液検査では、血液を採取し、脳下垂体から分泌されるホルモン(LH、FSH、プロラクチン)、卵巣から分泌されるホルモン(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)、甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、クラミジア抗体、卵巣内に残っている卵子数を推定する抗ミュラー管ホルモン(AMH)、抗精子抗体などを検査します。
AMHについて詳しくはこちら
超音波を患者さんに当て、子宮(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮奇形など)や、卵巣嚢腫をはじめとする、卵巣の異常の有無の発見や卵胞や子宮内膜の厚さの計測をします。
フーナーテストとは、性交後に子宮頸管粘液を採取して、粘液内に含まれる精子の数や運動状態を確認する検査です。この検査により、精子がしっかりと子宮の中に入っているかが分かります。
造影剤を患者さんの子宮に注入してから、子宮内の異常の有無や卵管が通過しているか、腹腔内に癒着がないかなどを調べるためにX線で撮影します。当院では、デジタル方式のX線検査を採用しているので、通常のX線撮影よりも少ない被曝量で撮影することが可能です。
子宮の入り口から子宮鏡を挿入し、子宮の中の異常(ポリープや筋腫、形態異常など)の有無を調べます。痛み止めの坐薬を使用することで、痛みが少なく簡単に検査することが可能です。
全身麻酔でお腹に小さな穴を開け、腹腔鏡を用いて腹腔内の異常の有無を観察します。異常が発見された場合は、同時に治療を行います。
不妊症検査の中で痛みを生じる可能性があるものの1つに、子宮卵管造影検査が挙げられますが、全ての方が痛みを感じるわけではありません。
子宮卵管造影検査で痛みが生じる原因としては、検査の最初に造影剤注入用カテーテルを子宮に挿入するときや、造影剤の注入器の装着時、あるいは、その後、造影剤を流し込むことによって子宮腔内、卵管内に高圧がかかることが挙げられます。特に、卵管が閉塞していたり、強度の狭窄(卵管が非常に狭くなっている状態)があったりする場合は圧が高くなり、痛みが生じてしまいます。また、造影剤を一気に勢いよく流し込むことも、高圧の原因となる可能性があります。
当院では、鎮痛剤や子宮の収縮を和らげる薬剤を事前に使用して、痛みを抑えています。
それに加えて、造影剤注入時には柔らかいカテーテルを用い、また造影剤の注入速度を工夫することで、注入時の圧を軽減させています。その成果として、当院で子宮卵管造影検査を行った患者さんのアンケートは以下のような結果となりました。
一部に強い痛みを感じてしまった患者さんのほとんどは、卵管が閉塞しているか強度に狭窄している方々です。このような場合は、どうしても痛みが生じてしまいます。
しかしながら、痛みを感じなかった患者さんが58%ともっとも多く、軽度の痛みしかなかった患者さんも含めると、87%もの方が、強い痛みを我慢することなく検査を受けることができています。
なお、受診を決めている方は以下の予約専用ダイヤルにてお問い合わせいただけます。
受付時間:月〜金:9:00〜18:00 、土:9:00〜17:00 、日:休診
田園都市レディースクリニックHP
田園都市レディースクリニック 理事長、田園都市レディースクリニック あざみ野本院 院長
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