いしょせいにんしん

異所性妊娠

俗称/その他
子宮外妊娠
最終更新日:
2022年01月05日
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2022/01/05
更新しました
2017/04/25
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概要

異所性妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の部位に着床することです。受精卵の着床部位に応じて卵管妊娠、間質部妊娠、頸管妊娠(けいかんにんしん)、卵巣妊娠などに分けられ、9割以上が卵管での異所性妊娠です。子宮外妊娠と呼ばれることもありますが、子宮内の異所性妊娠も存在します。

異所性妊娠の主な症状は、月経(生理)が確認できない状態での下腹部痛と不正性器出血です。また受精卵が大きくなると、着床部が破綻して大量の出血を起こします。特に卵管妊娠では妊娠部の卵管が破裂して大量の腹腔内出血(ふくくうないしゅっけつ)をきたし、ショック状態となることもあります。現在では妊娠検査薬で陽性反応があるにもかかわらず妊娠6週頃までに超音波検査で胎嚢が認められないことで強く疑われることが多くなっています。

異所性妊娠は全妊娠の0.5~2%程度に起こるといわれており、骨盤内臓器の炎症や腹部手術、異所性妊娠の既往などがある場合にリスクが高くなります。特に近年では、クラミジアなどの性感染症や不妊治療(体外受精・胚移植)の増加に伴い頻度が高くなっています。

原因

異所性妊娠のほとんどを占める卵管妊娠は、受精卵が何らかの原因で子宮内膜まで正常に運ばれないことによって起こります。卵子と精子は卵管膨大部と呼ばれる部分で受精し、卵管を通って子宮内膜まで運ばれて着床します。しかし、炎症、癒着、奇形などで卵管の通過性が障害されていると受精卵が卵管を通過できず、卵管内で着床してしまうことがあります。

異所性妊娠のリスクを増加させる要因としては、年齢、妊娠歴、骨盤内炎症性疾患の既往、腹部手術(卵管形成術、卵管不妊手術など)、異所性妊娠の既往、子宮内避妊具の使用、子宮内膜症の罹患、不妊治療などがあります。

症状

異所性妊娠の主な症状は無月経、性器出血、下腹部痛などです。受精卵の成長が進み卵管破裂を起こすと、強い下腹部痛や腹腔内出血(ふくくうないしゅっけつ)による貧血低血圧、頻脈、顔面蒼白、発汗、悪心・嘔吐、意識障害などのショック状態となることもあります。

また、異所性妊娠では正常妊娠と同様に、妊娠検査薬での陽性反応が認められます。

検査・診断

異所性妊娠は、この病気を疑う何らかの症状が認められた場合や、市販の妊娠検査薬で妊娠反応があるにもかかわらず、専門医による診察で子宮内に胎嚢が認められないことなどをきっかけに疑われます。また、近年では超音波検査で子宮外に胎嚢や胎芽を認めることで診断されることも多くなっています。

正常妊娠では通常妊娠5週後半頃までに胎嚢が確認されますが、妊娠6週になっても超音波検査で胎嚢が確認できない場合は異所性妊娠が強く疑われます。

異所性妊娠が疑われる場合、内診、腹部所見、ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン値測定、超音波検査、ダグラス窩穿刺(かせんし)などの検査が行われます。これらの検査でも診断がつかない場合は、正常妊娠でないことが明らかであれば子宮内容除去法や腹腔鏡下手術などが行われることがあります。

治療

異所性妊娠の治療には手術と薬物療法があります。どのような治療を行うかは異所性妊娠の部位や症状、妊娠週数などによって異なります。

手術

多くの場合は手術が第一選択となります。もっとも頻度が高い卵管妊娠の場合は、根治手術(付属器切除術、卵管切除術)、保存手術(卵管切開、胎嚢除去術)があります。これらは開腹手術や、より体の負担が少ない腹腔鏡下手術によって行われることが多くなっています。どのような手術を行うかは、妊孕性(にんようせい)(妊娠する能力)を温存させるかなどの希望や年齢などを考慮して選択されます。また、卵管破裂が起こっている場合など腹腔内での出血が多い場合は、輸血や輸液による全身状態を改善する治療と並行しながら行う必要があります。

薬物療法

メトトレキサートと呼ばれる薬を投与して子宮内容物を除去する方法です。外国では広く用いられている方法ですが、日本では異所性妊娠に対する適応がなく、手術によるリスクを回避したい場合など一部の状況で行われることがあります。

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