インタビュー

HIVの陽性反応

HIVの陽性反応
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年12月26日です。

HIVの検査には、1次検査と2次検査があります。1次検査で陽性もしくは保留と判定された方のみ2次検査を受け、陽性もしくは陰性と判定されるのです。2つの検査での陽性の意味合いと偽陽性について、臨床経験豊富な尾上泰彦先生に伺います。

「HIVの検査の手順について」の記事でもお伝えしましたが、HIVの検査には1次検査であるスクリーニング検査と2次検査である確認検査があります。スクリーニング検査は非常に感度の高い検査であるので、HIVに感染している疑いが少しでもある場合には、陽性もしくは保留にします。スクリーニング検査で陰性と判断された方は、その時点ではHIVに感染していないことが確定します。仮に陽性もしくは保留と判定された方は、確定検査を受けることになります。この確定検査で陽性と判定されたらHIVの感染が確定します。

「偽陽性」とは、本当は陰性であるのにもかかわらず、ある検査において陽性と判定されることをいいます。HIVでは、スクリーニング検査で陽性と判定されても、確認検査で陰性となる「偽陽性」が発生することがあります。そのため、スクリーニング検査で陽性と判定されたからといって、必ずしもHIVに感染しているとは限らないのです。

HIVのスクリーニング検査で偽陽性と判定される確率は、検査によって異なります。厚生労働省が運営しているサイトである「HIV検査・相談マップ」によれば、保健所で検査を受けている方の感染者の割合は、おおよそ0.3%であるようです。また、通常検査ではおおよそ0.3%、迅速検査(即日検査)ではおおよそ1%の確率で偽陽性が発生するといわれています。そのため、通常検査において陽性と判定された方が偽陽性である確率は50%、迅速検査において陽性と判定された方が偽陽性である確率は77%となります。

確定検査は、スクリーニング検査に比べて、時間も労力も費用もかかります。保健所では、無料でたくさんの方に対して検査を行わなければなりません。また、保健所で検査を受ける方のほとんどは感染していません。そのため、より効率的に多くの方を検査するためにスクリーニング検査を行い、陽性と判定された方のみ確認検査を受けてもらうのです。

残念ながら現在では、感染したHIVを完全に除去することはできません。しかしながら、適切な治療を行うことにより、HIVの増殖を抑え、さらにはエイズの発症を遅らせることができます。もし陽性と判定されたら、医師の指示に従いましょう。カウンセリングを受けることもできます。

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