現在HIV感染症は早期に発見し、抗HIV治療を行うことでHIVの増殖を抑え、エイズの発症を抑えることができます。そのため、早期の検査の必要性が説かれています。今回はHIVの検査の手順について、臨床経験豊富な尾上泰彦先先生に伺いました。
HIVの検査は、基本的に問診、スクリーニング検査、確認検査の手順に従います。
保健所でHIV検査を受ける場合には、匿名で検査することが可能です。しかし、匿名で検査を受ける際も、検査前に問診を受けることになります。病院・保健所どちらで検査を受ける場合にも、問診の際に重要となってくるのは「ウインドーピリオド」について確認をすることです。
HIVは体内に侵入してしばらくの間は、検査をおこなっても感染を確認することができません。この検査によって確認ができない期間のことをウインドーピリオドと言います。ウインドーピリオドは検査法によってそれぞれ異なりますが、おおよそ6〜8週間といわれています。もし、ウインドーピリオドに検査を受けた場合、検査結果の正確性は悪くHIVに感染しているかどうかを確認することができません。
スクリーニング検査とは1次検査のことで、HIVに少しでも感染している疑いがあれば陽性と判定してふるいをかける検査のことをいいます。
スクリーニング検査には、酵素抗体法(ELISA)や粒子凝集法(PA)などがあります。検査するにあたって、血液を検体として5ccほど採取します。そして、検体中にHIVの抗体があるかどうかを検査します。このとき、HIVの抗体が見つかれば陽性とするのですが、非常に感度が高い検査であるので、少しでもHIVに感染 している疑いがあれば陽性と判定されます。そのため、感染していない場合にも陽性と判断されることもあります。この検査で陰性と判定されたら、HIVに感染していないことが決定します。
なおスクリーニング検査には、採決してから1時間以内に検査結果がでる即日検査と、採血してから約1〜2週間してから再度検査結果を聞きに行く通常検査の2種類があります。
スクリーニング検査の結果が陽性、もしくは保留となった場合には、確認検査を受ける必要があります。この検査では、核酸増幅法とウエスタンブロット法を併用します。確認検査の精度は非常に高いので、スクリーニング検査と違って陽性と判定されるとHIVの感染が確定します。
確認検査は、スクリーニング検査に比べ、時間や労力、費用がかかります。そのため、HIVの検査を広範囲で行うには効率的ではありません。ですので、HIV感染者を多く、効率よく把握するためにスクリーニング検査でふるいにかけるのです。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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