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インタビュー

HIV感染症とは

HIV感染症とは
谷口 俊文 先生

千葉大学医学部附属病院 感染制御部・感染症内科 講師

谷口 俊文 先生

「HIVに感染した」と聞くと、「治らない病気」や「死に至る病気」というイメージを持たれる方も少なくないでしょう。しかし、現在はHIV感染症への考え方が大きく変わってきています。HIV感染症という病気はどのように捉えられているのか、また日常生活における注意点について、千葉大学医学部附属病院 感染症内科 助教の谷口俊文先生にご説明頂きました。

以前までは、HIVに感染すると「死」に至ると考えられていましたが、現在、HIV感染症は「慢性疾患」のひとつと考えられています。似ている疾患として挙げられるのが糖尿病です。糖尿病も一度患うと完治しない方が多く、薬を飲み続けて血糖をコントロールする必要があります。それと同様、HIVも薬を飲み続ければウイルスの複製が抑えられ、免疫機能が回復すれば普通の方と同じ生活ができます。

しかし、疾患を何も患っていない方と比較すると、寿命は10年程度短くなるといわれています。これも糖尿病のような慢性疾患と同様です。つまり、HIV感染症はうまく付き合っていける病気であるということです。

世界中で合意がなされているHIVの最新のトピックスは、HIVに感染すると加齢が加速するということです。その結果、血管年齢が進行し心血管疾患や脳血管疾患を早く発症し、認知症のような症状が現れることが多くなるといわれています。この状態はHAND(HIV-Associated Neurocognitive Disorders=HIV関連神経認知障害)と呼ばれます。HIVと認知症の関連、増悪因子や治療法など現在多くの研究がなされています。

また、何も患っていない方と比べるとがんの発症率も高くなるといわれています。現在はHIVに関連するといわれていたカポジ肉腫肛門がんだけでなく、HIVに関連しないとされていた肺がん直腸がんも多くなっています。これも加齢の加速による影響のひとつではないかといわれています。

現在、この加齢の加速を防ぐ研究が進んでいます。そのひとつは、HIV感染者にスタチン(脂質異常症という疾患の治療薬)を服用してもらうという臨床試験です。まだ始まったばかりのランダム化比較試験(評価の偏りを避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法)のため結果は出ていませんが、このような研究が進められているのが現状です。

HIV感染症は慢性疾患と同様であると述べましたが、日常生活で特別に気をつけることはありません。他人への体液暴露(膣分泌液・血液・精液)に気をつければ、感染していない方と同様の生活ができます。コンドームを使用すればセックスも問題ありません。エイズを発症された方(免疫不全が進行している方)は生ものを食べないようにするなどの制限がありますが、免疫に特に問題がなければ、できないことはないとお考えください。

近年、駅やビルの掃除員の方や警察官の針刺し事故が問題になっています。注射針が捨てられているために誤ってその針が刺さってしまい、血液暴露をしてしまうというものです。もし針が刺さったら、その針はHIV感染者が使用したものだろうか、自分も感染するのではないかと不安になります。一刻も早く感染を予防するための治療を行いたいと思うのが多くの方の心理だと思います。しかし、予防治療(投薬)には感染者と同じ治療費がかかるにもかかわらず、国の支援が下りません。職業上、労災保険がおりる場合もありますが未だ難しい問題です。これを防ぐには、針を露出させたまま廃棄しない、廃棄する場所を徹底することが重要です。

 

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