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インタビュー

HIV検診をより受けやすくするための岡山県の取り組み—HIV感染の予防(4)

HIV検診をより受けやすくするための岡山県の取り組み—HIV感染の予防(4)
和田 秀穂 先生

川崎医科大学 血液内科学 教授   川崎医科大学附属病院 血液内科部長、輸血部部長

和田 秀穂 先生

近年、HIVが治療可能な病気になるにつれて、HIV感染を防ぐためのセーファーセックスの啓発に加え、検診により早期発見をすることの重要性が増してきました(「HIVを早期発見するための検診の重要さーHIVの予防(2)」参照)。現在HIVの検査は保健所において無料で行っています。しかし場所と時間が限定的なこともあり、実際にはなかなか検査に行きづらいというのが現状です。そこで岡山県ではHIVの検診の敷居を少しでも低くするための取り組みを行ってきました。ではどのようにして検診を受けやすい環境を整え、1人でも多くの方を早期発見・早期治療に結びつけているのでしょうか。川崎医科大学血液内科教授の和田秀穂先生に、岡山県ではどのような取り組みを行っているのかお話し頂きました。

現在、保健所では無料・匿名で検査をすることができます。しかし、予約制であるのと時間も限定されており便宜が悪いのも事実です。実際に行きたくても行けないという方もいらっしゃいます。現在、川崎医科大学では土曜日もHIV検査を行っています。土曜日の午前中の検査であれば平日勤務の方も検査を受けやすくなります。病院での検査は匿名でも無料でもありませんが、いつでも来院できるのは大きなメリットです。

岡山県では行政がHIVの検査に非常に力をいれてくれています。指定された10の拠点病院では自費検査をすべて1000円で行なうことができます。これは初診料などもすべて含めて1000円という意味です。通常の自費検査は普通5~6000円程度かかるため、安価で検査を実現できていると言えます。

2015年8月現在、前述の取り組み導入前に比べ、検査の数を1.8倍くらいまで増やすことができました。検査が増えると陽性者もある一定の確率で見つかります。そのような方に早期治療をすることで、感染拡大を防ぐことができるようになります。

岡山県では期間限定で、クリニックで自発的HIV検査を導入するトライアルを始めました。一般のクリニックでも一律1000円で検査をすることができます。病院は普通16時くらいまでしか受診できません。一方クリニックでは18時くらいまで、場合によってはさらに遅くまで開いていることもあります。このように検査の敷居を低くするための試みを徐々に行っています。この段階で陽性者がみつかれば、そこから感染拡大を防ぐことができるのです。

全国でもこのような事例は非常に珍しく、今は検診を受けに来る方のうち県外から受診される方も珍しくありません。ですから県外の方にも1000円で検査を受けられるようにしています。

岡山県が行政として協力してくれることや各医療機関同士がネットワークを組んでいる土壌が、スムーズな連携を作っています。例えば検診をクリニックで行います。その後治療することができる拠点病院と連携することもできます。その他拠点病院同士のネットワークもあります。「岡山HIV診療ネットワーク」は年6回の会合を行い、緊密な連携をしています。2015年8月現在で通算129回も会合を行っています。HIVに関するこのようなネットワークは日本で最も歴史のあるものです。

また治療を行なうにあたっての連携も充実しています。医師・看護師・薬剤師・臨床心理士・MSW(医療ソーシャルワーカー)・医療事務の6つの職種で多職種連携を実現しています。お金がなくなったから病院に来なくなったというのも困りますし、治療のモチベーションを維持していく必要もあります。そのような点を多職種でフォローしています。

以上、岡山県における取り組みについてご紹介しました。これはあくまで一つのケースです。今後は全国で地域に沿った形で検診の敷居が少しでも低くなり、早期発見から早期治療に繋げられるよう、さまざまな形でHIV診療のネットワークが広がっていけばと考えております。

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