
熱中症の応急処置のひとつに、氷嚢などで体を冷やすという方法があります。しかし、万が一の際に氷嚢が自宅にない場合や、外出先で熱中症になってしまうこともあり得ます。いざというときに慌てないためにも、簡単にできる氷嚢の作り方や代用品について知っておくと大いに役立ちます。今回は、自宅にある物で氷嚢を作る方法や氷嚢がないときの代用品についてまとめました。
氷嚢とは水や氷をゴム製の袋に入れたもので、スポーツの現場などで体を冷やすために使われています。氷嚢を使って体を冷やすことは、熱中症の応急処置としても効果があるといわれています。
氷嚢用の道具として、専用のゴム袋が市販されています。このような道具を自宅に備えておくと、熱中症や発熱、打撲などの応急処置に使うことが可能です。しかし急に熱中症になってしまった状況などでは、専用のゴム袋が手元にないこともあるでしょう。氷嚢の目的はあくまでも体を冷やすことですから、専用のゴム袋と同様の機能を持つもので代用することができます。
熱中症では、早期の応急処置がとても重要です。自宅に氷嚢がないからといって買いに出かけていると、どんどん時間が経過してしまいます。自宅に氷嚢がないものの熱中症や発熱などによって氷嚢が必要になったときは、自宅にある物で簡易氷嚢を作って早めに対処しましょう。
ビニール袋はゴム製の氷嚢よりも薄いことから、破れてしまわないように注意しましょう。乱暴に扱わず、とがったものを近づけないようにしてください。なお、氷だけを使うと温度が低すぎて凍傷になってしまう可能性もあるため、水を混ぜて作るとよいでしょう。
ゴム製の氷嚢がない場合にビニール袋と氷、輪ゴムで簡易氷嚢を作る方法をご説明しました。しかし、外出先で熱中症の症状が見られた場合、ビニール袋や氷を用意することが難しい場合もあるでしょう。そこで、氷嚢がないときに利用できる、体を冷やせる代用品をご紹介します。できるだけ早く体を冷やす方法を覚えておけば、いざというときにも慌てず対処することができます。
タオルを水で濡らして氷嚢の代用品にします。ハンドタオルを水で濡らすだけなので、外出先でも無理なく調達することができるでしょう。気化熱が発生するぶん、乾いたタオルで汗を拭くよりも体を冷やす効果が期待できます。
体には首や腋、太ももなど太い血管が走っている部分があります。そこに水をかけたり、冷えた飲み物を当てたりすることで、体を冷やす効果が期待できます。
また、冷たい飲みものを飲むと体を冷やすことができます。水分補給は熱中症の予防にも有効です。近くに自動販売機があれば、体の冷却と飲むためのドリンクを買って活用しましょう。
外出先の場合、保冷剤を所持していないことも多いでしょう。しかし、もし手元に保冷剤があれば、氷の代用品として体を冷やすのに活用できます。
もし冷蔵商品を持ち運ぶために保冷剤を持っていて、ほかに適切な道具がない場合、氷嚢の代わりとして活用しましょう。冷蔵商品は悪くなってしまうかもしれませんが、緊急事態と割り切ること。熱中症の場合、早急な判断が重要になります。
いざというときに効率よく体を冷やすことができるよう、氷嚢や代用品の効果的な使い方を知っておきましょう。
熱中症が疑われたときは、できるだけ早く体を冷やす必要があります。涼しい場所へ移動させるとともに、その場で素早く用意できるものを使って冷やしましょう。水をかけるといった対処法については、抵抗や迷いを感じることがあるかもしれません。しかし、ほかに選択肢がないのであれば、早期に決断をしてください。
なお、救急車を呼ぶ場合でも、電話中や到着するまでの間、体を冷やし続けることが重要です。電話をした後は救急隊員などからの指示を受けることもできるため、それに従いましょう。
太い血管を冷やすことで、体を効率よく冷やすことができます。特に首の両側、腋の下、太ももの付け根は、体の表面に近いところを太い血管が走っています。素早く体を冷やす必要があるときは、この3か所を重点的に冷やすのが効果的です。
熱中症が疑われるときには、素早く体温を下げることが重要です。自宅にあるもので氷嚢を作る方法や代用品を知っておくことで、いざというときに役立てられるかもしれません。
自分自身や家族、同行者が熱中症の症状に見舞われたときは、その場に何がありどのように活用できるのかを素早く判断しましょう。そして早急に対処することが大切です。
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。