概要
いちご状血管腫とは、生後間もなくから生じる赤あざの一種です。あざは一時的に大きくなり盛り上がりを示すようになりますが、学童期頃には赤みが薄くなり消退することが一般的です。しかし、あざが瘢痕(あと)として残ることがあり、あざの場所によっては視力や呼吸に影響が生じることがあります。
そのため、消退する傾向があるから放置しても大丈夫だと考えるのではなく、悪影響が及ぶ可能性がないかを慎重に考慮しながら、治療方針を決定することが重要です。
治療には高い専門性が必要とされるため、病気の存在が疑われた段階で専門の病院を受診することが重要です。
原因
血液中の酸素濃度がいちご状血管腫の発症に関わっているものと推定されています。これは、低出生体重、未熟児網膜症、多胎などと、いちご状血管腫の発症が関連しているという疫学的なデータをもとに推察されています。
血液中の酸素が低下する環境では、血管の増殖に関連するさまざまな物質が変化すると考えられ、こうした物質の影響から血管病変が引き起されると想定されています。
症状
生後数週間程度の早い時期に赤あざとしてみられるようになります。赤あざは、時間経過と共に1歳前後をピークとして大きくなる傾向があります。その後、多くは7歳頃までに色が徐々に薄くなり、盛り上がりも縮小するようになります。ただし、経過中にけがをすることで出血をきたすこともあります。
いちご状血管腫の赤あざは、最終的には自然に薄くなることが期待されますが、あとを残すこともあります。あざが顔などの人の目につきやすい場所にある場合、将来的に審美性の観点から問題を残すことが懸念されます。
また、耳に病変が形成されると耳の変形につながったり、目の近くに形成されると視力の低下につながったりすることがあります。
検査・診断
いちご状血管腫は、病変の状態や、生後いつから赤あざがあるのか、経過中に大きくなっているのかといった経過から疑われます。
場合によっては、血液検査や超音波検査やMRI検査といった画像検査が追加で行われることもあります。また、病変部位の一部を採取して、詳細に顕微鏡で観察する病理検査が行われることもあります。これら検査結果をもとにして、いちご状血管腫の診断に矛盾がないかを評価します。
治療
いちご状血管腫は、基本的には時間経過と共に自然に小さく薄くなることが期待できる病気です。そのため、積極的な治療介入をせずに、慎重な経過観察を行うこともあります。
しかし、長期的に審美性に問題を残したり、視力障害などの機能障害を残したりすることがあるため、これら影響が懸念される場合には、積極的な治療介入が検討されます。具体的には、レーザー治療や薬物療法(β遮断薬やステロイドなど)、切除術などから病状に合わせて選択されます。
経過観察も含めて実際の治療内容は、大きさや部位、年齢などに応じて選択されます。検診時に指摘された際、あざの存在に気づかれた際などには、早い段階で専門医を受診し、治療などについて相談することが重要です。
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