概要
がま腫とは、舌下腺から分泌される唾液が周囲にたまり、腫瘤の様に腫れる疾患です。見た目が、ガマ蛙ののど袋に似ているので「がま腫」と命名されています。ラヌラとも呼ばれます。
原因
舌下腺が何らかの理由で損傷、破綻すると、舌下腺から唾液が漏出するようになります。漏れ出た唾液が組織の中にたまることで「がま腫」になります。同じように体内に液体がたまる腫瘍性疾患に「のう胞」があります。
似ていますが、がま腫は腫瘍ではなく、偽のう胞であることがわかっています。
症状
漏れ出た唾液は袋状になって組織にたまり、腫れてきます。舌下型では舌の裏側である口腔底が腫れ、舌が上方に押しやられます。口腔底を観察すると薄青く腫れた状態が確認できます。顎下型ではあごの下が腫れてきます。いずれの場合も痛みなどの症状は伴わないことが多く、小さい病変の場合は気づかれずに経過することも少なくありません。
検査・診断
超音波検査、CT、MRIなどの画像検査が行われます。いずれの検査でも舌下腺周囲の液体貯留が確認できます。MRIは病変の性状を詳しく知ることができるため、他疾患との鑑別に特に有用です。また、腫脹部位を少し太めの針で穿刺すると透明で粘調整の高い液体が引けます。
治療
少し太めの針で内用液を吸引すると一時的に腫れは引きます。しかし、しばらくするとまた同じように腫れてきます。そのため、薬液注入による保存的治療や手術が行われます。
保存的治療
貯留液を吸引後、抗悪性腫瘍剤を注入します。注入することで同部位に炎症を起こし、貯留壁を癒着させることで再腫脹を予防します。人為的に炎症を起こさせる治療のため、副作用として発熱や反応性腫脹が出現します。注入後はやや硬くなりますが、時間の経過とともに消退します。効果が不十分な場合は繰り返し行います。この治療方法で治癒しない場合は手術が行われます 。
手術療法
「舌下腺全摘出術」が行われています。手術は口から口腔底を切開して行いますので外に傷は残りません。顎下腺からの唾液出口であるワルトン管や知覚神経である舌神経の損傷に注意しながら行います。
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