びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
- 同義語
- びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫,DLBCL
- 俗称/その他
- びまん性大細胞性B細胞リンパ腫
概要
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは、白血球の成分の1つであるリンパ球ががん化する“悪性リンパ腫”の1つです。悪性リンパ腫はどの細胞ががん化したのか(細胞の起源)やがん細胞の特徴(組織型)、進行速度などによってタイプが細かく分けられており、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫はB細胞(Bリンパ球)から発生した悪性リンパ腫のうち、進行の早いものを指す“アグレッシブタイプ”の代表的なものです。
悪性リンパ腫と診断される人の数は1年間で約3万人といわれており、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫はその中でも頻度の高いタイプです。さまざまな年齢に発症しますが、高齢になるほど発症頻度が高くなります。
原因
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、白血球の成分の1つであるB細胞ががん化して、無秩序に増殖するようになったものです。B細胞は自身の遺伝子を複製して増殖していますが、その際に生じた遺伝子異常ががん化の原因です。一部のリンパ腫ではヒト免疫不全ウイルス(HIV)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)、エプスタインバールウイルス(EBV)などのウイルス感染、細菌感染、自己免疫疾患、免疫を抑制する薬剤などが発症に関わっていると考えられています。
症状
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の代表的な症状は、リンパ節の腫れやしこりです。首や腋の下、脚の付け根などリンパ節が多いところに現れやすく、多くの場合痛みはありません。また、発熱、体重減少、大量の寝汗がみられることもあります。これらは“B症状”と呼ばれる特徴的な症状です。
病気が進行し、腫れやしこりが大きくなると、気道や血管、脊髄といった周りの臓器が圧迫され、呼吸困難、うっ血、麻痺といった症状がみられることもあります。
リンパ腫はリンパ節以外の場所にできることもあり、骨髄、皮膚、消化管、脳などさまざまな臓器に発生します。これらの臓器にリンパ腫ができると、発生部位に特徴的な症状が現れます。
一方で、自覚症状がほとんどなく、健診で初めて発見されることもあります。
検査・診断
リンパ節のしこりなどから悪性リンパ腫が疑われる場合、病変の組織を手術や針によって採取する“生検”が行われ、顕微鏡で観察して病理診断が行われます。
悪性リンパ腫と診断されると、その進行度を判定するために超音波検査、CT検査、PET-CT検査、骨髄検査、胃カメラ、大腸カメラなどのさまざまな検査が行われます。進行度(病期)はリンパ腫の広がりに応じてI~IV期に分けられ、それぞれ以下の特徴があります。
- I期:リンパ節の腫れが1か所のみ
- II期:リンパ腫の腫れが2か所以上あるが、横隔膜の上下どちらかのみに存在する
- III期:リンパ腫の腫れが横隔膜の上下に広がっている
- IV期:リンパ節以外の臓器にリンパ腫が広がっている
治療
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療には、主に薬物療法と放射線療法があります。もっともよく行われているのは複数の抗がん剤を組み合わせる“R-CHOP療法”と呼ばれる治療法です。また、近年では難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対して“CAR-T療法”と呼ばれる新しい治療も行われるようになっています。
薬物療法
抗がん剤や抗体薬を組み合わせて治療されます。もっともよく行われるのは抗体薬であるリツキシマブと複数の抗がん剤とステロイドホルモンを組み合わせたR-CHOP療法です。
これらの治療を行っても効果がないものや、治療終了後に再発した難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、患者自身のT細胞(免疫細胞の一種)に遺伝子導入を行うことで、リンパ腫細胞への攻撃性を高めるCAR-T療法が行われることもあります。
放射線療法
体の外側から病変にX線を照射し、がん細胞を消滅させる治療です。リンパ腫が一部分にとどまるI~II期のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫で行われることがあります。またIII期以上の場合も、病変が大きい場合やR-CHOP療法終了後に病変が残っている場合などには、放射線療法が行われることがあります。
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