原因
イタイイタイ病の主な原因は、長期間にわたる高濃度カドミウムの摂取です。また、カドミウム摂取だけでなく、妊娠や授乳、加齢、カルシウムなどの栄養不良といったほかの因子もイタイイタイ病の発症に関与していると考えられています。
カドミウムは自然界に存在する重金属の一種で、環境中から農作物や水産物に取り込まれます。人がこれらの食品を摂取することで、体内にカドミウムが吸収されます。カドミウムは主に腎臓に蓄積し、長期にわたる摂取により腎機能障害を引き起こします。腎臓は、体内のミネラルバランスを整えるだけでなく、骨を強くするために必要なビタミンDを活性化させるなど、多くの重要な役割を担っています。そのため、カドミウムにより腎機能障害が引き起こされると、ミネラルの再吸収や排出(代謝)のバランスが崩れ、結果として骨の健康に深刻な影響を及ぼします。
イタイイタイ病の特徴的な症状である骨軟化症は、このようなミネラル代謝の乱れが原因で発症します。骨軟化症とは、骨が十分に硬化せず、軟らかくなる状態を指し、骨折のリスクが高まります。
この病気が富山県の神通川流域で多発した背景には、地元の鉱山からカドミウムを含む廃水が河川に流出し、その水で農作物を育てたり、飲料水として使用したりしていたという事情があります。現在では、環境基準の厳格化や食品の安全管理により、イタイイタイ病のような深刻な健康被害のリスクは大きく低下しています。
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