概要
ケーラー病とは、土踏まずを構成する骨のひとつである「舟状骨」が障害される病気を指します。ケーラー病は、骨の成長期にある3~5歳の男児に多い病気です。またケーラー病は、フライバーグ病と呼称される場合もあります。
発症すると、土踏まずに痛みや腫れが生じます。進行すると、歩行に障害を来すこともあります。足に体重をかけることで症状が増悪することがあるため、靴の中敷きやギプスの着用が検討されます。
原因
原因は完全には明らかになっていませんが、舟状骨の外傷や慢性的な圧迫がきっかけになることが指摘されています。骨の外傷の治癒過程に異常が生じることで病気の発症に至る可能性があります。
ケーラー病は「骨端症」といわれる、小児に特有の骨の病気の一種です。骨端とは骨の端の軟骨で、骨の成長が起こる部分です。骨よりは強度が弱いので荷重などの負荷や外傷の際に傷つきやすい場所です。舟状骨は足のアーチ(土踏まずのカーブ)の頂点に位置するため荷重するときに負荷がかかりやすい場所です。
骨の成長に伴って徐々に骨端が固まり骨が強くなっていきますが、舟状骨はこの過程が他の骨に比べて遅い傾向があります。舟状骨への血液の供給が十分でないこともあり、骨がうまく成長できずに徐々に腐ってつぶれてしまい、ケーラー病の発症に至るとも考えられています。
症状
土踏まずに当たる部分(舟状骨が存在する部分)に痛みや腫れを生じます。痛みは徐々に進行し、足に体重をかけることが難しくなることもあります。痛みにより、足を引きずるなど上手に歩くことができなくなります。
ケーラー病では舟状骨への血流が障害され、骨の形が徐々に変形します。しかし、時間経過とともに血流が元通りになり、骨の変形が改善することも期待できます。
ケーラー病による症状は、両側に生じることもありますが、片側に障害をみることのほうが多いです。
検査・診断
ケーラー病は、足のレントゲン写真により診断されます。罹患した側と罹患していない側を比べると、進行の程度の評価に役立ちます。
レントゲン写真では、舟状骨の硬化(レントゲン上白い色が濃く見える)や変形が確認されますが、この変形は時間経過とともに改善することも期待できます。レントゲン写真を継続的に撮影することで、骨の形が戻る様子を確認することができます。
治療
ケーラー病は、足に体重をかけることで症状が増悪することが懸念されます。そのため、足への荷重を避けるために、靴の中敷き(土踏まずを盛り上げることで体重を分散)やギプスを着用することが検討されます。
症状が強くない場合には、こうした処置を行うことなく、経過観察にとどめることもあります。経過中に運動制限をかけることもあります。
症状に合わせた治療を行うことで、ケーラー病の症状は1年ほどで改善することが期待できます。
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