概要
シーバー病とは、発育期の成長途上のかかとの骨の端(踵骨骨端部)に負荷がかかることで、骨の壊死や骨軟骨炎が生じ、痛みなどの症状を引き起こす病気のことです。踵骨骨端症と呼ばれることもあります。
かかとを押したときの痛みや軽度の腫れ、歩行時の痛みなどがみられることがあります。
10歳前後の男児によく起こる病気で、頻度は高くありませんが女児に起こることもあります。スポーツによる負荷によって発症しやすいためスポーツ障害の1つともされており、激しい運動の後にかかとの痛みを訴えるときはこの病気が疑われます。
シーバー病は一般的に予後良好で、骨の成長が終われば自然治癒します。
原因
シーバー病は、発育期の子どもの踵骨骨端部と呼ばれる部位に負荷がかかることで起こります。
発育期のかかとの骨は完全に骨化しておらず、骨端軟骨(成長板)と呼ばれる軟らかい組織が存在しています。
この状態のかかとに運動などで負荷がかかったり、アキレス腱がかかとを引っ張る力が持続的にかかったりすることで踵骨に血流障害が起こり、軟骨の炎症や骨端軟骨より先の踵骨骨端核と呼ばれる部分に壊死がみられるようになります。
症状
シーバー病の主な症状はかかとを押したときの痛み、かかとの軽い腫れ、歩行時の痛みなどです。症状は激しい運動をした後に起こることが多いでしょう。また、症状は片足のみにみられることも、両足にみられることもあります。
症状が軽い場合は、1日程度で痛みが治まり歩行にも支障をきたしませんが、痛みが続いたり、症状を繰り返したりする場合もあります。たとえば、かかとが痛いためにかかとを地面に着けられず、つま先歩きになることがあります。また、慢性化してしまうと、1年〜数年単位で症状が続くこともあります。
検査・診断
シーバー病は、症状を基に診断されることが多いです。シーバー病を発症しやすい10歳前後の男児(まれに女児)が激しい運動の後にかかとの痛みを訴える場合は、この病気を疑うことがあります。
X線検査で、踵骨骨端核に硬化像や分裂像が認められれば診断がつきます。
なお、シーバー病はかかとの骨の局所的な骨壊死であり、一般に血液検査では異常はみられません。
治療
シーバー病の治療は局所の安静が基本です。激しい運動を行っている場合は中止します。
痛みが強い場合や痛みが続く場合は、かかとに負荷がかからないようにするため、靴の中敷きを使ったり、かかとにシリコン製のクッションを置いたりするようにします。
症状が軽ければ自然に軽快しますが、症状が治まったからといって運動を続けると症状を長引かせる原因となります。
予防
シーバー病はスポーツ障害の1つであるため、運動前の十分なウォームアップやストレッチングが大切です。
また、シーバー病を含むさまざまなスポーツ障害を予防するためにも、スポーツ後のアイシング、足に合ったシューズの使用、足底装具(足の負担を軽減する中敷きのような治療用装具)の使用などを実践するとよいでしょう。
シーバー病はそれほど強い負荷でなくても、繰り返し同じ場所に負荷がかかることで発症することがあります。
腫れや関節機能障害などの明らかな異常がないことも多いため、病気に気が付かずに運動を続ける原因となることも少なくありません。
子どものスポーツ障害は周りの大人が異常に気付くことが重要なため、シーバー病にかかりやすい10歳前後の子どもがかかとの痛みを訴えたときには、運動を休ませて安静にし、症状が改善しない場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
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