じすきねじあ

ジスキネジア

最終更新日:
2021年08月10日
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2021/08/10
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概要

ジスキネジアとは、口をもぐもぐさせる・舌を左右に揺らす・手が常に動いているなど、自分の意志では止めることができない不自然で不規則な動きのことを指します。

ジスキネジアは、老化などによって大脳の基底核と呼ばれる部位に何らかの障害が生じることによって引き起こされると考えられています。また、抗精神病薬を長期間にわたって服用すると、脳の機能が変化してジスキネジアを発症することがあります。このようなジスキネジアを“遅発性ジスキネジア”と呼び、日常生活に支障をきたし得る副作用として精神疾患治療中の方を悩ませてきました。

ジスキネジアは治療が難しく、特に薬の副作用によるものの場合は原因となる薬の変更や減量が必要となるため、病気の治療に影響が生じる可能性があります。しかし近年では、ジスキネジアに対する手術や新薬の開発なども行われています。

原因

ジスキネジアは大脳の基底核と呼ばれる部位に何らかの障害が生じることで発症すると考えられています。

大脳基底核にはさまざまな神経が通っており、随意運動(自分の意志で体を動かすこと)、目の動き、学習、記憶などさまざまな機能をつかさどっています。その中でも、円滑な随意運動をするには神経伝達物質の一種である“ドパミン”と呼ばれる物質が必要です。

ジスキネジアは大脳基底核の障害によって、このドパミンがつかさどる随意運動が円滑に行えなくなることで生じる症状とされています。高齢者や糖尿病患者に発症するケースが多いとされていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。

一方、ジスキネジアは薬の副作用として発症することもあります。特にドパミンが大脳基底核に作用するのをブロックするタイプの抗精神病薬を長期間服用することで、ドパミンが結合する“受容体”が過敏になって発症するジスキネジアを“遅発性ジスキネジア”と呼びます。また、ドパミンが不足することで発症するパーキンソン病などでは、ドパミンを補充する治療が行われるため、ドパミンが過剰になった場合はジスキネジアを発症することがあります。

症状

ジスキネジアは、口をもぐもぐ動かす、舌を左右に揺らす、歯を食いしばる、目が閉じられない、手足が勝手に小刻みに動く、手に力が入るなど、本人に動かそうという意思がないにもかかわらず筋肉の収縮が生じて不自然で不規則な運動が生じる症状のことです。多くは、口や目など顔面に生じますが、手足などに発生することも少なくありません。

自分の意志で止めることができないのが特徴であり、周囲から“落ち着きがない”と捉えられてしまうなど、社会生活に支障をきたすこともあります。また、重症な場合には、ものが飲み込めなくなったり、呼吸が上手くできなくなったりするなど命に関わるような症状が出ることもあるため注意が必要です。

検査・診断

ジスキネジアの診断には、発症している不自然で不規則な運動の観察、発症の様子などを詳しく聴取することが必要となります。また、ジスキネジアは薬の副作用によって発症することも多いため、内服中の薬の確認も大切です。

特別な検査が必要ないことも多いですが、必要に応じて血液中のドパミン濃度を計測するための血液検査を行ったり、脳の病気の有無を調べるために頭部CTや頭部MRIなどの画像検査を行ったりすることもあります。

治療

ジスキネジアは治療が難しいケースも多く、不規則で不自然な運動を止めるにはドパミンを枯渇(こかつ)させる薬剤やドパミンの受容体に作用する薬、ビタミン剤などによる薬物療法が行われることがあります。しかし、確立した治療法はなく、遅発性ジスキネジアのように薬の副作用と考えられる場合には原因となる薬の中断や減量、ほかの薬剤への変更が必要になるケースも少なくありません。

近年、重症なケースでは脳に電極を差し込んで刺激を加える“脳深部刺激療法”といった手術が行われることがあります。

また、遅発性ジスキネジアに対しては、神経に作用してドパミンの取り込みを抑えることでジスキネジアの発症を防ぐはたらきのある新薬が開発されており、すでにアメリカでは2017年に遅発性ジスキネジアに対する初の治療薬として販売が開始されています。

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