概要
パーソナリティ障害とは、ものの考え方や行動様式(行動の仕方)などが、一般の人と比べて著しく異なった状態になる病気です。社会活動、学校生活、仕事など、他者との人間関係が必要とされる場において問題を生じることがあります。通常は、思春期を超えた頃から明らかになってきます。
また、パーソナリティ障害を抱える方は、ものの考え方や行動様式(行動の仕方)などが、自分にとっては自然なものであると捉えることがあります。そのため、自分自身の障害を認識していない方もいます。
原因
パーソナリティ障害は、遺伝的要因、社会要因などが複合的に影響して発症すると考えられています。遺伝的にパーソナリティ障害をきたしやすいこともあれば、年齢を重ねるなかで経験した出来事が病気の発症に関わっていることもあります。
たとえば、幼少期に親から虐待を受けたことが要因となり、思春期以降に恋人や配偶者など大切な人から見捨てられることを過度に恐れることにつながり、突発的な感情の変化などを呈して発症する場合があります。
症状
パーソナリティ障害は、A群クラスター、B群クラスター、C群クラスターの3つに分類されます。
- A群クラスター……奇妙で風変わりであることが特徴
- B型クラスター……演技的・感情的で、移り気であることが特徴
- C群クラスター……不安で内向的であることが特徴
さらに、パーソナリティ障害には多くのタイプがあります。なかでも多いのは、B群クラスターに分類される“境界性パーソナリティ障害”です。境界性パーソナリティ障害の患者さんは、突発的な感情の変化から自傷行為などを行うことがあります。こうした症状によって周囲の人は振り回され、波風を立てないように腫れ物に触るような接し方になることがあります。
そのほか、他者に対する不信感が強く裏切りを過度に恐れる“猜疑性(妄想性)パーソナリティ障害”、悪いことをしている認識がなく社会規範に反する行動をとるなどの特徴をもつ“反社会性パーソナリティ障害”といったタイプがあります。
検査・診断
パーソナリティ障害は、認知行動面が平均的な行動や考え方からかけ離れていて、社会生活に支障をきたしている場合に疑われます。
パーソナリティ障害の中でもどのタイプであるかを確定するためには、詳細な問診によって症状を確認することが重要です。本人だけでなく、家族や友人を含め周囲の人に聞き取りが行われることもあります。こうして得られた情報をもとに、DMS-5などの診断基準に照らし合わせて診断されます。
治療
治療は、障害のタイプ、重症度、患者さんの生活スタイルなどに応じて行われます。患者さんと医師の一対一で完結するものではなく、周囲のサポートや、心理士・ソーシャルワーカーなどの介入が必要です。
代表的な治療方法は、精神療法や心理療法です。感情、考え方、行動の仕方について学ぶことをとおして、病気によって起こる問題への対処方法を身につけます。個別に行われることもあれば、同じ境遇にある方が集まって行われることもあります。
また、症状の現れ方やタイプによって薬物療法が検討されます。医療保険で認められているパーソナリティ障害の薬はありませんが、実際に使用される薬には抗精神病薬などがあります。抗不安薬は自殺企図などに用いられる恐れがあり、SSRIは情動を不安定にする恐れがあるため、投与は必要最小限にとどめられます。
医師の方へ
「パーソナリティ障害」を登録すると、新着の情報をお知らせします