概要
上腕二頭筋腱断裂とは、上腕を構成する上腕二頭筋の腱が、肘もしくは肩の位置において切れてしまうことを指します。腱が断裂した部位に一致して痛みが生じます。
断裂が生じた場合には、局所の安静を保つことが重要です。また、アイスパックなどを用いて冷却したり、痛みが強い場合には鎮痛剤の内服薬を用いたりします。手術が行われることもあります。
原因
上腕二頭筋は、肩から肘にかけて存在する筋肉です。これら筋肉に存在する腱が切れてしまうのが上腕二頭筋腱断裂です。
肩の上腕二頭筋腱断裂
肩にはいくつもの骨や筋肉、腱が存在しており、構造的に複雑です。そのため、同部位において、上腕二頭筋腱がこすれてしまうことがあります。これにより慢性的に上腕筋の腱が損傷を受けると、断裂が生じることがあります。したがって肩の側での上腕二頭筋腱断裂は中高年以降に起こることが多いです。
また、肩に存在する上腕二頭筋腱の断裂は、外傷や重たい物を持つこと、テニスや水泳で酷使すること、などによっても引き起こされることがあります。
肘の腕二頭筋腱断裂
肩と同じく外傷をきっかけとして発症します。過度に重たい物を持ち上げようとしたり、重たいものを持っているときに不意にバランスを崩したりすることによって、肘関節における上腕二頭筋腱断裂が生じることがあります。
症状
上腕二頭筋腱断裂が生じると、腱が断裂した部位に一致して痛みが生じます。腱が切れた瞬間に、音が聴こえることもあります。また、腱の損傷部位に出血が生じ、あざや腫れを認めることもあります。腱が切れると筋肉が急激に縮むため、こぶのように出っ張ることもあります。
上腕二頭筋の腱が断裂すると、筋肉がうまくはたらかなくなるため、腕を曲げる、肩を挙げる、といった動作の際に力が入りにくくなります。筋力が低下することから、物を持ち上げる動作にも支障が生じることがあります。
検査・診断
上腕二頭筋腱断裂では、断裂したときの状況を詳細に評価することが大切です。身体診察にて、症状の項目で記載したような症状がないかどうかも確認されます。
また、肩や肘など、腱の断裂が疑われる部位に対してレントゲン写真、超音波検査、MRI検査といった画像検査が行われます。これら画像検査を通して、腱が断裂している状況を評価します。
治療
上腕二頭筋腱断裂が生じた際には、局所の安静を保つことが重要です。重たい物を持つ、腕や肩を動かすなどの動作を避けます。また、アイスパックなどを用いて局所を冷却することも大切です。痛みが強い場合には、鎮痛剤の内服薬で対処することもあります。 患者さんの状況を考慮したうえで、手術が行われることもあります。さらに、急性期を乗り越えた際にはリハビリテーションも行われます。
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