概要
葉状腫瘍は、乳房にできる比較的まれな結合織性および上皮性混合腫瘍のひとつです。すべての乳房腫瘍のうちの約0.5%程度と考えられています。発症は30歳代~50歳代にかけて多いといわれています。
悪性度に関しては、良性、境界病変、悪性の3つに分類されますが、見た目や触診では線維腺腫との区別がつきにくい場合もあります。多くは腫瘍が大きくなるスピードが早く、2~3か月で明らかに増大する場合には葉状腫瘍が疑われます。
原因
乳腺の腺管上皮から発生する乳がんと異なり、葉状腫瘍は腺組織を囲む間質細胞という細胞が腫瘍化したものであると考えられています。良性、境界病変、悪性の3つに分類されます。頻度の低いまれな疾患です。
明らかな発症原因やリスク因子はわかっていません。現段階では、家族性や遺伝性など、世代間でリスクの高い状態が継続されるかどうかも不明です。
症状
乳房に腫瘤ができるため、外見から、あるいは触ることで腫瘤の存在に気がつくことがあります。特に葉状腫瘍の場合には比較的急速なペースで増大することが多いため、数か月で10cm近くまで大きくなることもあります。
痛みは通常伴わず、良性のものであれば転移しないため、わきのリンパ節が腫れることもありません。ただし、悪性の場合にはこの限りではありません。
検査・診断
マンモグラフィー、超音波検査などが行われますが、葉状腫瘍はその画像所見や病理学的形態が多様であるため早期診断が難しいことが特徴です。細胞診での正確な診断率は低いため、主に針生検が診断に用いられます。針生検とは、細い針を乳房に刺し、腫瘍まで到達させ、その組織の一部を採取する検査です。採取した組織を、顕微鏡で詳細に観察することで診断につなげます。
治療
葉状腫瘍では腫瘍切除、つまり手術が原則です。通常は腫瘤切除だけで、乳房切断を必要とする症例は多くありませんが、悪性度の状況により変わります。再発しやすい腫瘍であるため、少し余裕をもって取り残しのないように切除します。
乳房部分切除後の局所再発率は、良性で8%、境界病変で21%、悪性では36%だったとの研究報告があります。すべての悪性度を含めた全体での局所再発率は、164例の切除症例の報告によると18.9%でした。
手術後は慎重かつ長期間の経過観察が行われます。長期的な方針については、主治医によく確認することをお勧めします。
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