概要
処女膜裂傷とは、腟の入り口にある処女膜と呼ばれる薄い粘膜が性行為や分娩などで裂けることを指します。裂けることによって出血などの症状が出る場合もありますが、症状は一時的ですぐ治まることが多く、特別な処置が必要になるケースはほとんどありません。
処女膜の形状や厚さなどには大きな個人差があります。ほとんどの場合は、腟を完全に塞いでおらず中央部に小さな穴が空いており、この穴から経血やおりものが体の外に出るようになっています。
原因
処女膜裂傷の主な原因は、性行為や分娩などのような腟を強く広げる行為です。乱暴な性行為や、会陰*が十分に伸びていない状態での分娩などでは、処女膜だけでなく会陰や腟壁まで傷が広がってしまうこともあります。
処女膜の形状は個人差が大きいため、処女膜裂傷の原因をはじめ処女膜に関する問題はさまざまです。初めての性行為で処女膜が裂けて出血する人もいれば、粘膜の柔軟性が高く、初めての性行為でも傷や出血などが生じない人もいます。また、性行為に関係なく運動や偶発的な事故などが原因で損傷してしまう場合もあります。
そのほか、処女膜が厚く性行為が困難な人や、処女膜に穴が開いておらず完全に塞がっている人(処女膜閉鎖症)などもいます。
*会陰:腟口から肛門までの間の部分
症状
処女膜が裂けると、痛みや出血などが生じるケースがあります。ただし、多くの場合で症状は一時的であり、治療は特に必要ではないことが一般的です。
しかし、前述したとおり乱暴な性行為や分娩などで、まれに会陰や腟壁まで裂傷がおよぶこともあります。特に腟壁の傷の程度が大きいと多量に出血するため、急に血圧が低下しショック状態になる恐れがあります。
検査・診断
一般的に問診で状況を確認し、視診や触診などで処女膜に裂傷があるかどうかを確認します。
治療
処女膜裂傷の多くは軽度で、自然と痛みや出血は治まり、治療がいらないことが一般的です。しかし裂傷によって大量に出血している場合や、強い痛みが生じている場合などには、止血や処女膜を再建するために処女膜を縫合する処置が検討されることもあります。
縫合処置は一般的に局所麻酔を使用しますが、裂傷が腟壁までおよんでいる場合など、傷の程度が大きい場合は全身麻酔を検討することもあります。
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